そよ風 (No.269)

東方幸男

2013.06.03

Wクリップ

紙類などを束ねたり、挟むという仕草は、紙の歴史とは切っても切れない動作だと思います。当初は針のようなもので通して束ねていたのでしょうか? 日本では紙を丸めた、紙縒りという形が昭和の時代まで使われていました。

 

クリップという形で紙に穴を開けずに束ねることは、ローマ時代にはあったという話もありますが、明確には分りません。

 

簡易な形の通称ゼムクリップというU字型に針金を曲げたクリップがありますが、1899年に特許(未確認)が取られてた加工機械があり、それを使って作られたGEMクリップが量産の始まりだという話もあります。

 

針金を曲げたもので、紙を挟むアイデアは1867年にアメリカ特許第64088号に登場します。「チケットファスナー」ということで紙切れを挟むモノです。

 

ゼムクリップの登場より遥かに前のことです。ゼムクリップの改良形式は、1920年のアメリカ特許に集中して登場します。

 

U字型のゼムクリップに抜け難いようにギザギザを付けたものが米国特許第1378525号「ペーパークリップ」として権利化されています。また、後ろと前を少し斜めに持ち上げた形のクリップが、米国特許第1369717号に示されており、これらは何れも現在も商品として見かけたことがあります。

 

U型ではなく、周りのアームに入るようなV字型の挟み部分を設けるクリップが米国特許第1334233号に出てきます。最近この周りのアームをパンダなどの動物のシルエットの形にしたものなども見かけます。

 

また、V字型で挟むところをずらした形のクリップが米特許第1344473号として登録されています。これも比較的厚いものを挟むために少し前までは私も使っていました。

 

厚いものを綴じるために作られたのが、バネの力で嘴状の金属で紙を挟む目玉クリップといわれるモノで、米国特許第1474102号に登場します。ご紹介した特許はすべて1920年の登録で、この年はクリップの進化期だったのでしょうか?

 

分 厚い紙類を綴じる単純な形で、しかも綴じた後が嵩張らない、究極のクリップが、Wクリップ(ダブルクリップ)ではないでしょうか。ターンクリップともいい ますが、挟むためのスプリング(弾性)ホルダーを広げるアーム部分を、紙を挟んだ後は折り返すことによって、嵩張らないようにすることが可能な形のクリッ プです。米国特許第1139627号として登場したのが1915年です。

 

こ の発明、じつは日本にも出願されており、アメリカよりも数年早く1912年(明治45年)に登録になっています。アメリカ出願は1910年7月ですが、日 本出願は1911年10月で、権利者(発明者)はルイス・エドイン・バルツーレさんです。しかし、明治の終わりごろに発明されたWクリップが、現在も同じ 形で流通しているとは素晴らしいことです。

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