コラム

模造品対策

レバノンで、イスラム教シーア派のヒズボラのメンバーが数ヶ月前に購入した無線機に
仕掛けられていた爆弾が爆発し、
20名以上が死亡、500名近くが負傷したニュースが20249月に伝えられました。
このトランシーバが日本製であったと伝えられ、一時騒然としました。
その後の調べで、日本のトランシーバの模造品であったことが確認されました。
すでに10年前に製造中止になっている機種で、
正規品であることを証明するホログラムラベルもなかったそうです。
しかも電池の製造も中止されていて、模造品以外は流通していないこともわかりました。

模造品を防ぐためには、こうしたホログラム印刷のラベル以外にも、
固有のQRコード(二次元バーコード)を製品に貼り付けて、
一台ごとに、どのようなルートで供給されているかをインターネットで確認する方法もあるのです。
ところが、このシステム自体を模造して、見た目はそっくりな画面のサービスまで登場し、
いたちごっこであることがニュースで伝えられました。
メーカの人が、こうした模造システムまで登場しては、手の打ちようがないとまで言及していました。

一番身近な例で、模造品を防ぐために様々な対策が施されているのは紙幣でしょう。
2024年に登場したお札には、
肖像が見る角度で正面を向いたり、右を向いたりする高度なホログラム印刷、
手で触ったりしてもわからないほどで、肉眼では判断できないような微細な凹凸印刷、
さらには透かし、磁気を帯びた印刷など複数の技術が採用され、
到底再現できない高度な対策が施されています。
日本の紙幣偽造防止技術は世界でもトップクラスで、
他国の紙幣の印刷まで請け負う優れた技術であり、日々改善が重ねられているといいます。
新しいお札が登場するのは、こうした偽造防止技術が向上していてニセ札作りを防ぐために、
一定の期間で流通紙幣を新札に切り替える対策が採られているのです。

先日の「知財・情報フェア&コンファレンス」で出展されていた中に、
旭化成の偽造防止ソリューション「Akliteia®」(商標登録第6552919号他)がありました。
パンフレットによると偽造品の被害額は年間50兆円に上り、
貿易の33%が模造品であるというデータが紹介されていました。

旭化成が電子機器向けに開発した微細なパターン印刷技術を応用して、
商品に貼り付けるタイプの模造品識別ラベルを作り、
透明なラベルに精細な例えば格子構造を印刷して、
干渉縞や解析像をレーザ光などのスポットの小さい光で読むことで
真贋を判定することができる仕組みです。

そして個別の商品なり、生産ロットごとに固有のシリアルコードを付与して、
正解情報と比較することで模造品を判定するのです。

Akliteia®」では、こうしたラベルだけでなく、
製造拠点、物流倉庫や卸業、運輸輸送、小売り、輸出入の税関など
サプライチェーンすべてをカバーするプラットフォームを構築し、
偽造品の流通を防止して、正規品だけの流通を促進するサービスを提供しているのです。

旭化成は、こうした高精細なパターン(0.1から10μm)を貼った商品から得た画像情報を、
光学的に読み取った商品固有情報と、正解情報と照合する仕組みを権利化しています。
特許第7490788号「情報処理方法、情報処理装置、及びプログラム」など複数の特許を確立しています。

さらには読み取るためのスキャナーや、ラベル自体の構成方法などの発明を出願しており、
偽造防止ラベル、真贋判定デバイス、データ管理プラットフォームまで幅広く権利化を目指しています。

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