コラム

AIによる発明

最近のAIの発展は目覚ましく、
産業界でも活用が進んでいる話題が毎日のように伝わっています。
そうした中でAI自身が発明者として記載された発明を
特許庁が却下したことに対する処分取消を求める裁判についての判断が出ました。
東京地方裁判所、2024年5月16日の判決です。
判決は特許庁の処分を容認するもので、
AIが発明者として記載された出願は認められないとするものでした。

この案件は、PCTに基づいて各国に出願されていましたが
発明者は自然人によるものでなければならないとして、
多くの国では登録にならず裁判所も認めない判断をしており、日本も同様の結論が出されたのです。

事件となった発明は「フードコンテナ並びに注意を喚起し誘引する装置及び方法」で
2020年8月5日に出願されたものです。
国際出願番号はPCT/IB2019/057809です。
問題になったのは発明者の氏名欄に
「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」とされていた点で
人工知能であるAIのダバスが発明者だとしたことに補正命令が出せれ、
発明者欄には自然人を書く必要があるというのです。

私はコンピュータシステムやプログラムを
発明するための道具として使うことはありうるとは思いますが
人が全く介在しないで、つまりAIを使うために例えば発明の課題を命令や質問として入力して
AIからの出力を評価して実用的であるか、
そもそも新規性や進歩性があるかなどの判断を
人が介在しないで行うことはできないと思っています。
そうしたことまでAIが判断して、
発明の開示まで自律的に行えるようになることはあり得るのかも知れませんが
現在のAIにそこまで期待することはできないと思っています。
つまりAIが発明者には今の時点ではなれないと思うのです。
つまり裁判所の判断に納得しています。

そこで
現在の代表的なAIである「ChatGPT」に「AIは発明者になれるか?」と聞いてみました。
結構、的確な回答でした。以下抜粋します。
(AIが発明者として認められるかどうかについては、
法的および倫理的な観点からさまざまな議論があります。主な論点をいくつか紹介します。)
(法的観点;
特許法は通常、「自然人」(人間)を発明者として認めています。
多くの国では、発明者は特許を申請する際に人間でなければならないと規定されています。
このため、AIが直接発明者として認められることは現状では難しいです。)
(特許法の改正議論;
AIが発明を行う能力を考慮し、特許法を改正するべきだという意見もあります。
この場合、AIが発明者として認められるような法的枠組みが必要になります。)
(倫理的観点、発明の帰属;
AIが作成した発明の権利は誰に帰属すべきかという問題があります。
通常、AIを開発・運用している人や企業がその発明の権利を持つと考えられます。)
(責任の所在;
発明に対する責任を誰が負うのかという問題もあります。
AIが発明した技術に問題があった場合、その責任を問われるのはAIの開発者や使用者です。)

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