保湿ティッシュ
2月に入り全国的に春を告げる梅が咲きだす季節を迎えます。
私はこの時期になると少し憂鬱になります。私の鼻や目のセンサーが異常を知らせます。
鼻や目の粘膜では、そろそろ杉の花粉が舞いだしたことを伝えます。
早い話が鼻水が出て、くしゃみを頻発するとともに目がかゆくなるのです。
こうした時節の到来を鼻や目が捉えるのです。
実は花粉症と言われてアレルゲンの検査をしてもらったら
ハウスダストに始まり、様々な花粉や物質に過敏に反応する体質であったことが分かりました。
原因が分かっていても対処法がなかなかなく
まわりの皆さんから、風邪や感染性の病気を疑われ、
特に混んだ電車の中や人混みでは、冷たい目線を感じることがしばしばあります。
こうした時期には、ポケットティッシュペーパーの使用頻度が上がります。
ミニサイズで包装されたティッシュをポケットに忍ばせることが欠かせません。
ティッシュは鼻紙とか塵紙とも言われますが、紫式部や清少納言の著わした書にも登場するようで
平安時代の貴族には花紙とか懐紙と呼ばれ、当時から紙を使って鼻をかむことが行われていたそうです。
庶民に広く使われるようになるのは江戸時代になり
紙漉きで作った紙を切断して使った余りの紙を改めて溶かして再生した紙が巷に出回り、
トイレで使ったり、鼻をかんだりすることが行われるようになったといいます。
西洋を見るとアメリカで第一次世界大戦のころに脱脂綿の代用として、
セルコットンの技術を使い、メイク落とし用のティッシュペーパーが発売されたのが始まりです。
日本では1963年に、アメリカで開発された箱入りのティッシュペーパーが販売され
万能ハンカチと言われ急激に普及してきました。
先の話に戻りますが、花粉症や風邪などの症状でティッシュを多用すると
鼻の周辺の皮膚を傷め、ヒリヒリしてくることが少なくありません。
なるべく柔らかい紙でかむために、少し高額な柔らかティッシュを買ってくることもありました。
ところが平成の時代(1993年)になり、ティッシュに水分を含ませた保湿ティッシュが登場したのです。
紙に水を含ませると膨らんで柔らかくなることは理解できますが、
弱くなり破れ易くなってしまいます。
そこで化粧品や食品に使われている保湿材をティッシュに含ませたといいます。
保湿材は空気中の水分を取り込み保持する作用があるそうで、
100回を超える試行錯誤の結果、性質の異なる保湿材をバランス良く配合することに成功したのです。
この保湿ティッシュは日本人の発明で、四国にある製紙メーカが世界で初めて作り出したのです。
そして微細多孔質構造のゲル状の保湿成分をティッシュに含ませる発明を特許化しました。
特許第3950400号「繊維ウェブ製品、及びその製造方法」(河野製紙株式会社)です。
肌に優しい保湿成分を含んだティッシュペーパーは、鼻炎の人だけでなく
赤ちゃんや女の人のように繊細な肌に優しいティッシュとして愛用されています。
現在では柔軟性と保湿性を上げるため
紙にエンボス加工をした一層柔らかなティッシュが登場しています。
特許第4431992号「保湿不織布」で「ふんわり・しっとり・なめらか・つよい」と表現され、
従来のティッシュの概念を変える優れものです。