コラム

鎖国攘夷

久々に映画を観ました。
休日の昼間で封切りから数日だというのに席はまばら。
最近は、わざわざ出かけなくても、封切りからある程度過ぎるとネットやテレビなどで観ることができるので、都合をつけて映画館に足を運ぶ人が少なくなっているのでしょう。

吉村昭の歴史小説を原作にした「雪の花-ともに在りて-」です。
江戸時代に流行り、手の施しようが無くて多くの人が亡くなった天然痘(疱瘡)の撲滅を目指して、種痘を日本に導入した笠原良策を描いた作品です。

江戸時代といえば1721年(享保6年)に新規御法度というお触れが出て、もし特別な事情があり、新しいことをやるためには、役所の特別な許可を得なければならないというお達しでした。
「呉服、諸道具、書物は申すに及ばず、諸商売物菓子類にても新規に巧出し候事自今以後堅く停止たり、若し拠んどころなき子細あるものは役所へ訴出、許しを受け仕出す可き事」

こうした世の中で、種痘の種を外国から取り寄せ、予防接種を行うために幕府にお願いし、種痘の方法なども工夫して、地方の町医者が努力したお話です。
新しい事をやるために、漢方医薬が主体だった医療に西洋医学を導入するためには多くの困難(社会も政治も)を抱えていた中、私財を投げ打って越前の国の福井藩に種痘所を開設した感動の物語りでした。

この映画を観て、鎖国で知られた江戸時代に、長崎の出島や唐などとの細々とした交易ルートを使い異国の文化や物資を得ていた時代は、どんなものだったのかと思いを寄せていました。

ふと浮かんだのがアメリカのトランプ大統領のアメリカ第一主義の政策です。
大統領就任の初日に地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」から離脱する大統領令に署名、さらには近隣の国への高額関税など、現在版の鎖国だと思えてならないのです。

経済的な鎖国になりつつあるアメリカを広く開国させるための黒船にはなにがあるのか、国内からの開国意識を引き出すための対策はないのかということを考えさせられます。
AIへの多大な投資などの政策もあり、情報の分野でも世界をリードする意気込みは相当なものです。
ヨーロッパにも自国第一主義の波及が進みつつあるとの指摘もあり、貿易で発展をしているわが国には今後大きな課題になることは間違いありません。

鎖国攘夷を止めるために、我々ができることは何かと考えてみると、やはり知的財産をフルに活用して行くことではないかと思うのです。
世界が求める商品なり、サービスを創造して行くことが、自国第一主義で閉ざされつつある国々の内から、外から閉ざされた扉を開ける技術なりサービスのアイデアの開発が、ますます重要になってくるのです。

この際、徹底して皆様が日ごろから開発している技術やサービスの開発に、ブレイクスルーするアイデアを何とか生み出していけないものでしょうか?

現在の商品やサービスが何のために使われているかを改めて考えませんか、そして自国第一主義に対処するためにどう変革して行くべきか、どのような機能なりサービスが、今後求められるかを、考え直す機会を持ってみませんか?

Contact

まずはお気軽にお問合せください

受付時間:平日9:00〜17:00 03-5281-5511 03-5281-5511
お問い合わせフォーム