コラム

AI検索

最近のニュースでは、車の自動運転や、空飛ぶ自動車などといった乗り物の研究開発が進みつつあるという話が登場します。その多くは環境や外部の状況を収集・判断することで車体や機体を制御する人工知能(AI;artificial intelligence)が搭載されます。

実は私も1980年代に、特許情報の日本語による全文検索の実用化を目指し、多分日本で最初に完成させました。当時は日本語からの技術用語抽出に使える実用的な抽出辞書がほとんどなく。(実際には二つの抽出ソフトウエアが存在していました。)抽出するための日本語の構文解析と、解析結果から必要な技術用語(単語)を特定するための用語辞書作りから始めなくてはならず気の遠くなるような手間(工数)を要する作業で、テストはしましたが、抽出ソフトの使用を断念したのです。

そして、当時勤めていた会社にある研究所の構文解析チームと共同して解析ソフトの実用化研究に使うという名目で、大量にある特許情報を使うことで研究を促進することにしました。紆余曲折はありましたが、簡単に言うとすべての文字を二文字づつ切り出し、全ての抽出語を辞書に登録してしまう方法を開発することにしたのです。考えれば乱暴な抽出アルゴリズムを使ったものです。

これは、解析辞書を持たない構文解析で、検索時間の短縮のためには検索用語辞書は持つのですが、全く使われない用語も数多く辞書に登録されます。しかし、個別に辞書を作る手間が無く、何とか人手を要しなくて済む仕組みを作ることができたのです。

この時には、用語辞書作りだけでなく、調査の手法を含め、コンピュータに覚えこませる知識ベースのAI検索システムを作るアイデアも当時のメモの中には、構想としてありました。知識辞書作りが半端ではない、または知識の収集と整理さえ大変なことで、この検索ノウハウの整理も一旦中止しました。

その後に構文解析を研究していたチームのメンバーが、知的財産部門のサーチャーグループに一年間所属して、調査のノウハウ、情報分析のノウハウを学び、まとめることで特許情報分析システムの開発を行い実用化したのは、20年以上経ってからでした。やはり当時の人工知能AIは、知恵の整理と蓄積の上に成り立っていたのです。

しかしこの数年で、AIのソフトウエアというかシステムが飛躍的に変化しました。

大量のデータを読み込み,データ間の意味付けを学び蓄積する、学習型のAIが登場したのです。従来のAIではあらゆることを想定し、人間が知恵として入力するか色々な思考方法を組み込むことでAI処理をしていたモノが、コンピュータが自ら学習して様々な場合に対処して行くシステムになりつつあるのです。

推論機能や、あいまいなことに対処するファジー制御、さらには過去の現象や事例を探し、類似なものをベースに部分的に修正を加える仕組みまで登場しています。

AIによる特許情報検索や分析ができるのも夢ではないのかも知れません。特許庁の審査も、様々な特許調査分析をAIがやってしまうのは未だ遠いとは思うのですが。

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