コラム

頼れる

ある小規模な企業のエンジニアと話す機会がありました。彼は土木関係のセンサーなどの開発をしている人です。

知人を介して初めてお会いしたのですが、私が特許関係の仕事をしていたという話をしたら、自ら発明したアイデアを特許にするまでに苦労したとのお話しをしてくれました。この人が言うのには弁理士さんとの会話で、自分の発明を説明することは決して難しいことではなく、当然のことながら良く技術を理解してしっかりと明細書の形にしてくれていると言います。

しかしながら、アイデアを考えた段階では、提案している技術は施工前であり、実用的なアイデアまでは盛り込めないことが少なくないというのです。これは、どの様な技術分野であっても共通する問題です。納期との関係もあり、ある程度の図面は引くことができるが、それぞれの現場ごとに課題も条件も違い、とても特許出願前には総べて洗いだすことは出来ないという悩みです。

しかも、ほとんどの土木作業の現場は、どちらかというと交通の便も悪い山の中などが多く、本社のある東京地区には中々足が運べないというのです。

特許出願に先だって弁理士さんとヒヤリングする機会もままならず、書面でやり取りしたり、電話などでの説明で事を進めなければならないということになります。そこでの悩みが、発明者がちゃんとした図面が描けず、概念的なポンチ絵とでも言うべき図面でどうしても作業が進んでしまうということです。

複数の発明を権利化した経験から、複数の現場への発明の適用を考慮して、図面を描くように心がけていると言われていました。納期に追われている中で、発明の権利化にそこまでの時間をかけるのは現場にいる人々にとっては、結構大変な労力を割かねばならず大変なことです。

それでも、そのようにしないと、当初に発明した内容を他社ならどのようにして回避してしまうか、という事までは誰も考えてくれないというのです。当然、弁理士さんにそこまで期待することはできません。

彼は、遠隔地であるからとか、現場での適用が未だだからという、ハンディを乗り越えて、少しでも他社がどう逃げるか、現場が違ってもどうすべきかなどを考えるように、仲間にも伝えて、強い役立つ特許を取るように心がけているというのです。

この話を、ある大手の知的財産部に長年勤めていた人に話したところ、そうした仕事は知的財産部員がやるべき仕事で、現場の技術者にはそこまで気を使わすべきでないという意見でした。私は知的財産部員がいて、しっかりと発明内容を把握して、権利の適用を考えてアドバイスできる発明者に頼られるような知的財産部員がいる企業なら良いが、中小規模の企業ではそうはいかない。大手の企業だって初めに紹介した様な技術者がいれば、より良い権利が取れると言ったのですが、知的財産を知り尽くしている人のアドバイスは欠かせないと、元知的財産部員は譲りませんでした。

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