間欠ワイパー
自動車は便利なモノですね。労せずにして遠隔地まで凄い早さで移動ができる。
1769年というから今から250年も前に、ニコラス・ジョセフ・キュニョが蒸気機関を使って人を乗せて
移動できる機械を作ったのが始まりといわれています。
その後様々なタイプの自動車が多くの人の手によって成されてきました。馬車の変わりに人や荷物を運ぶ
目的で作られたのでしょうから、乗合自動車が多かったそうです。
かの有名なカール・ベンツが1880年頃になって一般の人にむけて軽量の自動車を売り出してから、マイカーの時代を迎えたのです。
愛知県の豊田市にあるトヨタ自動車の博物館にいくと、昔から今までの歴代の自動車が、今でも走れる状態で保管され展示されています。
エンジンオイルなどが漏れてしまうのでしょうか、各クルマのエンジンの下にトレーが置いてあったのが印象的です。
この中で、私が感心したのが歴代のクルマのワイパーです。現在のクルマと殆ど同じ形のゴムブレードを付けたワイパーが装備されていました。これは1922年に発明されたようです。こんなに形が変わらないモノも珍しいのでは無いでしょうか。初めの頃はワイパーに連結されたレバーが室内についていて、手でレバーをくるりと回しワイパーを動かしていました。こうした簡単な構造でフロントガラスを拭いてしまう、ワイパーの形は究極なのでしょう。
モータで駆動する電動式のワイパーが採用されて相当な年月を経た後に、最近では標準装備になっている改良発明がありました。
1975年頃から高級車を中心に、間欠ワイパーが登場したのです。小雨の日のワイパー操作は大変でした。
スイッチを入れたり切ったりして雨の強さに応じて運転をしながら、操作するので煩わしさは想像に余りあるでしょう。
当時、私もこの間欠ワイパーの付いたクルマが欲しくてしょうが無かったのですが手が出せませんでした。
現在では装備されていないクルマを探すのが困難なくらいに普及しています。
それはさておき、こんなワイパーのモータに電気を入れたり切ったりする簡単なことは、誰も特許を取っている人はいないと思われていました。
しかし、アメリカに住む発明家ロバート・カーン氏が1978年に自分が特許を持っているとして、フォード自動車を訴えたのです。フォード1社で1億5000万ドルを支払えというものです。他の自動車メーカも訴えられましたが、その成り行きに注目していました。1990年になりフォード社が和解に応じたのです。1010万ドル(当時約13億円)支払う事で和解しました。
この和解金の半分は成功報酬として弁護士費用として支払われたそうですが、カーン氏は和解金で家を買い、
次の標的クライスラー社他に仕掛けてくるというニュースが当時伝わっていました。
アメリカ特許第3351836号「間欠動作フロントガラスワイパーシステム」で、1964年12月1日の
出願です。一部継続出願で、他にも数件登録されています。