コラム

複数の省で共同実施する地方にイノベーションを起こす支援施策

文部科学省は平成14年度から「知的クラスター創生事業」などの事業を行い、時代に合致した技術シーズの創出や産学官連携の推進に取り組んできた。これは時代から取り残されていく地方都市の活性化へと結びつくような施策を目指したものだ。

1990年代から世界的に始まっているIT産業革命の動きに合わせたものであり、大学から産業シーズを発信しようとする試みでもある。

その施策から10年後の平成23年度になって、政府は産学官連携などを通じて地域が主体的にイノベーション創出に発展するためのシステムを構築するために 新たに「イノベーションシステム整備事業」を推進することになった。その具体的な施策が「地域イノベーション戦略推進地域」と「地域イノベーション戦略支 援プログラム」である。

地域イノベーション戦略推進地域の選定は、文部科学省、経産省、農水省とが共同で行う事業である。縦割り意識の強い日本では、このような共同での施策は珍しい。

まず長期的視点に立ち、イノベーション推進協議会を設置する。この構成員は地方公共団体、経済団体、大学など研究機関、金融機関などであり地域で主体的に事業を実施し次世代の産業振興に結び付けようとするものだ。

選定された地域の中から特に優れた戦略を立てている地域に対しては、関係府省の施策を絡み合わせ、大学から出た基礎研究を企業に移転し、その事業化まで切れ目なく支援して地域にイノベーションを起こそうという狙いがある。

基礎研究から開発研究へ、そして事業化へと進展していく過程で文部科学省、経産省、農水省がそれぞれの役割で支援するものである。

文部科学省は主として知財形成と人材育成の支援になる。経産省と農水省の役割は、事業化への支援や製品化ができた場合の販路開拓などで支援することになっている。

最近特に話題になっているのは、国際競争力の強化地域である。日本は長い間、国内の優良市場に支えられて産業界が栄えてきた。しかしモノが充足してきたた めに製造業の販路は海外へ求められるようになり、さらに製造拠点もコスト安を求めて海外へ移転する流れが止まらなくなっている。このような時代趨勢にマッ チする産業構造をどう構築するかがこの戦略推進事業でもある。

いずれにしても、イノベーション事業には知的財産権は欠かせない戦略である。知財人材、知財コーディネーター、知財コンサルタントなど知財を取り巻く制度と人材育成がカギを握っていると言ってもいい。

また地域イノベーション戦略支援プログラムは、地域の研究者の充実度を高めるためにイノベーション創出のポテンシャルを持っている内外の優れた研究者を招 へいする場合には支援するとしている。研究者の人件費、スタートアップのために必要な設備、備品整備費なども支援対象にするという。

疲弊する地方の活性化の導火線になるようなイノベーションが起こせるかどうかは知財が握っていることになる。特に東日本大震災の影響を受けた日本の産業界 に刺激を与える地域活性化が実現できるかどうか。この事業が、イノベーション創出への起爆剤になるように期待したい。

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