藻からオイル
湖沼に生息する緑色の藻などは水質を悪化させるという理由で、どちらかというと忌み嫌われます。私も金魚やメダカなどの小さな魚を飼っていますが、エアレーションと言って細かい空気を入れて水質の劣化を防いでいます。
しかし、最近はこれらの藻の中のボツリオコッカス(Botryococcus)は、光合成によって二酸化炭素を固定し、炭化水素のオイルを 算出することが分かってきました。藻の細胞内外にあるボツリオコッセン(C34H58など)という炭化水素が、石油や石炭の代替資源として有望だといわれ てきているのです。
倍加スピードは3日と増殖が遅いのですが、大豆やトウモロコシなどの陸上植物より耕作面積当たりのオイルの収穫量は多く、乾燥した藻に含まれる炭化 水素の量は6割を超えるとのことで、耕作放棄地の再利用、排水を利用した池(培地)などでの大量培養の研究がなされております。
光合成ではなく、有機物を吸収して従属栄養で増殖する単細胞微生物であるオーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)も有望視され ています。昆布やワカメなどに近いそうで、オーランチオキトリウムは増殖が速く、倍加スピードが2時間という報告もあるそうで、高度不飽和脂肪酸を産出す るものが多く、炭化水素スクアレン(C30H50)を乾燥重量当たり20%も産出する微生物(株)も現れ、大量培養の研究がなされております。
こうした藻や微生物からのオイル生産は、ガソリンなどの代替としての活用を目指して、多くの企業や研究機関で実用化に向けた開発や研究が行われておりますが、一足お先に健康サプリメント、医薬品、化粧品としての実用化がなされています。
2014年11月にトヨタ系の国内最大の自動車部品メーカーであるデンソーがハンドクリームを発売しました。
熱機器・エンジン・駆動系など広範囲な自動車部品の技術開発や供給に定評がある、あのデンソーさんが、化粧品に参入というニュースには、私は耳を疑 いかけましたが、富士フイルムが何年か前に化粧品に参入してある程度の市場を確立しているので、異業種からの化粧品分野への参入はありうるものと納得した ものです。
しかも、藻から作ったオイル成分が含まれたハンドクリームという触れ込みで、成程と納得したものです。ネットでの販売が主ですが、私の感触ではハンドクリームの中では、抜群のなめらかさで、しっとり時間が長いように感じました。
デンソーからのサプライズ!を合言葉に、女性によるドリームプロジェクトが作られたのだそうです。カモミール・ゼラニウムの香りの保湿力の高いクリーム「moina」が登場したのです。2013年の7月には商標が出願され登録商標第5632294号として化粧品の分野で登録になっています。
モイーナ(moina)に使われていると思われる特許も出願されており、特開2013-35791号「保湿剤」として公開になっております。