コラム

立体カーナビ

最近の自動車を巡る技術は、ガソリンエンジンと電気モーター駆動のハイブリッドシステムとか、モーターのみの電気自動車が話題になっていますが、運転者と自動車の周りの環境などの対話をより便利にする動きが出てきています。

そ の一つが、バックする際に車の後ろの状況をテレビカメラで撮影し、カーナビの画面に表示するバックモニターです。私も10年前から使っていますが、このモ ニター画面だけを確認しながら、バックして駐車場などに停めるのは中々出来ません。娘はバックモニターとバックミラーでうまいこと駐車しますが、私は窓を 開けて後ろや側面を見ないとどうしてもうまく行かないのです。

そこには、現実の車の周りに情報と、モニターの情報をうまく一体化させて、認識する機能が私には備わっていないとも言えます。

こ うした私みたいな古い人間にも親切にしようと、車をバックさせるときに後ろを向いて確認すると、トランクなどの後方で確認するのに邪魔になっている車体の 部分を透過するように、現実の景色を透明なスクリーンに投射して、実質的には透明な車に乗っているようにしてしまう装置の実用化が進んでいるというニュー スが伝わっています。

一方、カーナビゲーションシステムは便利なものです。カーナビがない時代には、知らない土地に行くには事前にルートを 確認し、ある程度頭に入れてから出発し、要所要所で地図と自分の位置を確認するなど、わずらわしい作業がありました。しかしカーナビの登場で、行きたい場 所だけを設定すれば、距離を優先したり、時間を優先した様々な選択肢から要求にあったルートを選べば、ちゃんと案内してくれます。最近は渋滞の情報を加味 して、状況ごとに案内ルートを提案してくれます。

しかしながら、ルートの確認などで、カーナビの画面を見る必要があり、前方の進行方向から目を離さねばならないことが出てきております。

そこで、フロントガラスに移動方向などナビゲーションに必要な情報を投射してしまう製品が登場しました。2012年パイオニアから発売されたカロッツエリアサイバーナビのヘッドアップディスプレイ機能搭載の商品です。(登録商標第4224193号)

フロントガラスから見える景色で視線を移動させることなく、ナビゲーション情報を投影し、リアルな情報と人工的に作られた情報を同一の視野の中で視認できるわけです。

基本的なアイデアは、1993年6月に出願されたフランス特許第2706824号に登場します。この特許では、フロントパネルに矢印を投影し、車の行くべき方向を示すアイデアです。

その後も様々な画像処理などの工夫が各社から出願されており、ボッシュや東芝やデンソーも開発を進めているというニュースがあり、こうした機能がカーナビに普通に搭載されることになると期待されます。

立体カーナビとタイトルを付けましたが、拡張現実AR(Augmented Reality)カーナビの方が実際的かも知れません。

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