コラム

直近10年間に見る企業の特許活動と今後の動向

発明通信社が調べている公開特許件数の2000年と2009年の10年間の比較をした表を見ると、産業分野の開発動向と企業の個別活動が見えてくる。

2009年の公開特許件数のトップ20を見るとさすがに日本を代表する企業が並んでいる。

 

表1・2009年の公開特許件数のトップ20

順位 会社名 2009年・公開特許件数
1 トヨタ自動車 10152
2 パナソニック 8539
3 東芝 7625
4 キヤノン 7243
5 セイコーエプソン 7092
6 リコー 4798
7 ソニー 4694
8 シャープ 4594
9 富士フイルム 4557
10 デンソー 4199
11 三菱電機 4180
12 日立製作所 4174
13 本田技研工業 3452
14 富士通 3236
15 パナソニック電工 3191
16 富士ゼロックス 2847
17 日本電気 2825
18 三洋電機 2425
19 日産自動車 2011
20 ブラザー工業 2000

 

特に目立つのは、自動車産業である。トヨタ自動車が断然トップになり、デンソーが10位に入っている。13位に本田技研工業、19位に日産自動車と なっている。自動車産業は、ハイブリッド車から電気自動車の普及を視界に入れながら熾烈な開発競争を展開しており、その活動動向が特許活動にも出ているの だろう。

トップ10の中で目立つのはセイコーエプソンである。2000年には11位だったものが5位に上がってきた。同社はアメリカ特許商標庁のランキング でも、2001年に498件だったものが2010年には1443件に増やして12位に躍進して世界のトップクラスに仲間入りしてきた。

 

表2・2000年の公開特許件数トップ20

順位 会社名 2000年・公開特許件数
1 パナソニック 12314
2 キヤノン 10751
3 東芝 8780
4 日立製作所 8673
5 日本電気 8536
6 ソニー 8289
7 三菱電機 6090
8 リコー 5020
9 三洋電機 4461
10 トヨタ自動車 3589
11 セイコーエプソン 3556
12 シャープ 3527
13 富士フイルム 3488
14 富士通 3412
15 パナソニック電工 3124
16 日本電信電話 2581
17 積水化学 2528
18 デンソー 2525
19 本田技研工業 2313
20 オリンパス 2213

 

表2に見るように10年前の2000年のランキングを見ると産業界の研究開発の消長が見えてくる。自動車産業が隆盛になり、総合電機メーカーは相対的に後退してきた。

表3が、2000年を1としたときに2009年はどのような比率になっているかを示したものである。これを見ると直近10年間の特許活動の動向がよくわかる。

 

表3・2000年を1としたときの2009年の公開特許件数の比率

会社名 2009/2000
トヨタ自動車 2.8
セイコーエプソン 2.0
デンソー 1.7
本田技研工業 1.5
シャープ 1.3
富士フイルム 1.3
パナソニック電工 1.0
リコー 0.96
富士通 0.9
東芝 0.87
日本電信電話 0.7
パナソニック 0.69
三菱電機 0.69
オリンパス 0.69
キヤノン 0.67
ソニー 0.57
三洋電機 0.54
日立製作所 0.48
日本電気 0.33
積水化学 0.26

 

自動車産業を除いて伸びているのがセイコーエプソンである。電気メーカーではシャープが伸ばし、パナソニックが横ばいであるのを除くとほとんどがこの10年間で公開件数は後退している。

日本の特許出願件数がこの数年、激減していることを考えると当然の結果であるが、その原因は何なのか。様々の理由があげられる。

特許庁が出願案件を抑えるように行政指導したこと、企業が数よりも選択と集中を意識して出願してきたこと、構造不況による経費節減で知財予算を削減 してきたことなどがあげられる。これは筆者が東京理科大学知財専門職大学院(MIP)で担当している知財戦略論で受講生が出してきた理由の一部である。

3月11日午後2時46分に東日本を襲った巨大地震と原発トラブルは、日本再生にどのようなインパクトを与えるのか。日本はこの震災で沈むようなことはない。文字通り再生へと歩みだすだろう。産業界の再編、構造改革への大きな一歩になることを祈念したい。

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