白熱電球
最近の家庭や事務所の照明は、LED(発光ダイオード)にどんどんとって代わっています。消費電力が少ないのと、寿命が長いということで普及してきています。
私は古い人間で、ランプやローソクとは言いませんが、やはり白熱電球の頃が懐かしくなります。もちろん明るさも蛍光灯や、LEDに比べ劣っていました。
蛍光灯やLEDは、何だかあんまり温かみが少ないのです。近頃は白熱電球並みのほのぼのとした色合いを出せるモノが登場しました。白色から暖かい色まで自分で選択できるLEDのライトが発売され、我が家もほとんどの部屋を、このタイプに変えました。夜はリラックスできるオレンジ系の電球色、朝はすっきりとした目覚めを呼ぶ白色から、蛍光色に近い発光を自動的に制御できるものまであります。
しかしながら、ホテルや大きなホールなどでは、蛍光灯や、白熱電球を組み合わせたデザイン的にも素晴らしいものが、まだ未だ使われることもあるのです。単に効率だけではない心休まる光もあり、照明には気を使うべきものだと思いました。このように蛍光灯、LEDの全盛の時代にも活躍している照明装置に白熱電球があるのです。
白熱電球は物体を高温にしたときに発する白熱を光源に使用したものです。ガラスの球の中にタングステンなどの線を入れ、これに電気を流して高温にしてしまうもので、適当な気体を封入して安定な状態にしています。
この白熱電球の基本はアメリカのエジソンの発明であることは有名です。しかも、タングステンを使ったフィラメントなどの特許は外国でなされたものです。
このような中で白熱電球に欠かせない、現在でも使われている発明が日本人によってなされているのです。
はじめにご紹介するのが、1922年(大正11年)に出願された発明で、二重コイル・フィラメントです。螺旋状に巻いた線をさらに螺旋状に巻いたものです。光源を集中でき、封入したガスの対流による熱損失が少なくできるものです。大正12年1月12日に公告になった特許第50022号です。東芝の三浦順さんの発明です。
もう一つが、大正12年に出願された内面艶消電球です。電球の光は白熱ですから、大変高温で、目を射るような光です。この眩しい光を防ぐために、ガラスの表面を艶消しにした電球はあったそうです。しかし、汚れがつきやすく、しまいに照度も落ちてきてしまうようです。これを防ぐために、電球の中を曇りガラスにしてしまおうというアイデアです。特許請求の範囲は「硝子球の内面を艶消せる白熱電球」です。まさに、一言で権利範囲をいっています。いかに基本的な発明であったかが分かります。もちろん単なるアイデアだけでなく、ガラスにはアラバスターを使い、フッ化アンモニウムを主成分とする艶消液をガラスの内面に入れ、23分後に洗い流すという製造方法が示されています。大正14年3月19日に特許第62921号として登録されました。こちらも東芝の人が発明したもので、発明者は不破橘三さんです。
外国の基本発明の中で、日本人がなした商品化に欠かせない素晴らしい発明です。