発芽大豆
発芽なんとかという商品に出会ったのは大分前のことです。
知人から頂いた発芽玄米は、身体に良いギャバが含まれていて消化にも良いといわれ食べたことがあります。
最近になり、今度は発芽大豆を食べる機会がありました。
発芽とは種子が休眠状態から解除され、芽を出すことをいいます。水や温度、それに光などの条件を満たした際に起こります。特に水分は発芽に必要な代謝を促し活性化する際には必要欠くべからざるもので、種子が急激に水を吸って膨潤する吸水期と、穏やかに吸水する発芽期に分かれるそうです。この発芽始動期には発芽に必要なタンパク質の合成がなされ、幼根や芽の生長が始まります。
植物が代謝をする際には、医薬品や健康食品に使うことが出来るファイトケミカルなどの有用な化合物を生成することがわかっています。この植物の代謝は先に述べた水や温度などの生育条件、環境などの要素によって代謝される化合物の種類や量が変わってくるのだそうです。
ファイトケミカル(phytochemical)とは、植物が紫外線や昆虫など、植物にとって有害なものから体を守るために作りだされた色素や香り、辛味、ネバネバなどの成分のことですが、人の身体にも有用なポリフェノールなど様々な抗菌、抗酸化作用を持った物質が注目されています。
このファイトケミカル物質を、発芽環境を変えることで、選択的に種子の中で増加させる研究が行われ発明が生まれています。
最近目にしたものでは、大豆の発芽条件を制御して栄養価たっぷりの発芽大豆でした。
発芽誘導工程で、8000ppm以上20000ppm以下の二酸化炭素濃度で、発芽温度に保ち種子に水を含ませ、散水には殺菌剤を含ませることで、水溶性のポリフェノールを増加させる、または抗酸化物質を含ませた発芽分化植物種子を得るものです。酸素濃度、光量、温度などの条件も示されています。
特許第5722518号「発芽分化植物種子の製造方法、発芽分化植物種子の易水溶性ポリフェノール及び/又は抗酸化物質を含む食品及び植物種子の発芽分化を行うための装置」です。
また、400ppm以上の二酸化炭素濃度で、19容量%以下の酸素濃度で、5時間以上保持することで発芽誘導用原料種子を作る方法も特許になっています。特許第5795676号「発芽処理植物種子の製造方法、発芽誘導用原料種子の製造方法、発芽処理植物種子の抽出組成物、及び、スクリーニング方法」です。
これらの発明を使用して種子に菌による免疫ストレスを与えることで、希少なイソフラボンを大量に誘導することに成功したそうです。抗菌活性、抗炎症活性の物質が得られ、さらに癌の細胞に作用して増殖抑制効果が見られたとの報告もあります。
発芽時点での生育環境の抑制によって種子から様々な薬の原材料や、健康食品の素材が抽出できるようになっています。自然界の植物からの材料は身体に優しい生理機能の物質として今後注目されるのではないでしょうか。