特許庁
いつだったか、特許庁の方に呼ばれ、数人で訪問することになっていたので、ロビーで待ちあわせていたのです。ベンチに座って資料を見ていたところ、普段静かで暗いところに、突然フラッシュが焚かれたのです。
何事かと顔を上げると、初代特許庁長官の胸像の前で、小学生らしき人々と、父兄とおぼしき人々が、何やら説明を受けているのです。そうした様子をどなたかが、撮影していたのです。企業の人しか出会ったことがない特許庁に、小学生が表れたので、何かと耳を澄ますと、少し前の宮沢大蔵大臣と同じで、首相経験者が大蔵大臣になったとの話から高橋是清さんを説明していたのです。
その後、家に帰ってからテレビを見ていたら、当日は霞ヶ関ツアーと称して、あちこちの官庁に小学生を招いて行うツアーが行われていたようです。
特許庁のロビーには、高橋是清像の他に、十人の日本を代表している発明家がパネルで紹介されています。電気関係が少ないね、あそこに、掲示されるような発明者が社内から出ないかなどと、一緒に待っていたソニーの人が、冗談じみた口調でいっていたのが印象に残りました。
特許制度100年を記念して、設置された委員会の人が選定したものですが、自動織機の豊田佐吉、真珠の御木本幸吉、アドレナリンの高橋譲吉、グルタミン酸ソーダの池田早苗、ビタミンB1の鈴木梅太郎、タイプライタの杉本京太、KS鋼(永久磁石)の本多光太郎、八木アンテナの八木秀次、ファックスの丹羽保次郎、MK磁石鋼の三島徳七の10人です。
小学生はこれらのパネルの前でも、何やら熱心にメモを取りながら、説明している人の話を聞いていましたが、将来パネルに載るような人が現れるかも知れません。
ところで、特許庁の庁舎の中には、いくつかの配慮されている点があるといいます。私も充分確かめたわけではないのですが、知的財産権を扱う商売がら、施設や備品から商標名を排除しているのだそうです。エレベータや時計、トイレの便器に至るまで、気を使っているとのこと。つまり、商標の表示が無いのです。
審査官や事務官の使っているワープロやパソコンも商標がついてないのでしょうか?マイクロソフトのWindowsやintelなどのロゴの付いたラベルもないのでしょうか。今度、機会があったら見てくることにしましょう。
しかし、特許庁のパンフレットなどには立体商標の例として、一目見れば「不二家のぺコちゃん」や「ケンタッキーのカーネルおじさん」と分かる像が紹介されていたりするので、何やら、どういう基準でこうした気遣いが行われているのか、わからないのが我々凡人の頭なのですが・・・。
あと一つ、特許庁の庁舎の正面入り口には、官庁の入り口としては珍しく、丸い石の一部を斜めに欠いたようなモニュメントがあります。作者の「流政之さん」が挙げた名前が「三年町の石頭」でしたが、付けられた名前は「叡智の微笑」となっています。