消費者購買履歴
最近、消費者購買履歴データが気になります。
スーパーマーケットやコンビニエンスストア、電気屋さん、また様々なインターネット販売サービス。さらには
デパートなど、ありとあらゆるところでの商品購入履歴が残され、様々な使われ方がなされています。
だいぶ前になりますが、あるメーカの蛍光灯の電球に欠陥が見つかり、落下事故を起こす恐れがあるという
ことで、メーカから手紙が来たのです。もちろん利用者登録などは電球一つにするわけがありません。
シャンデリアの電球タイプの蛍光灯だったので、何回かに分けて購入した記憶がありました。
実はそろそろ暗くなったので、取り替えようとしていた矢先にリコールで新品が送られて来たのです。
これは家電店での電球購入履歴がコンピュータに記録されていて、それがメーカにすべて提供されていたのです。
この一例でも、どこかで購入すると、すべての消費者購買履歴が収集され、記録されていることが
わかりました。そして大量の購買履歴情報が、新製品の開発の基礎データとしてメーカに集約されるのです。
どこでどの機種が何台売れたなどというだけでなく、さらに細かく、どこの誰が何をいつ購入したかまで
把握できているのです。
こうしたデータを元に、消費動向や購買者の趣味趣向まで把握できるということで、ビッグデータの活用が
なされているのです。こうした大量のデータは、マーケティングの貴重な情報源になります。
一方で、これからの世界はIoT(Internet of Things)が主流になるともいわれています。つまり、
あらゆるモノがインターネットを介してコンピュータに接続され、相互に通信することにより、情報の
ネットワーク化がなされるのです。
こうした状況は、今まで電気メーカが作り販売されてきたモノだけでなく、ネットワークなどおよそ関係が
ないと思われたところや、商品までもがネットにつながり利用状況や利用する上で必要な情報がタイムリーに
提供されるようになります。
大阪大学の勝又壮太郎准教授が日本経済新聞(2017年2月6日付け)で消費者購買履歴だけでは消費者の
行動を読み取れないと指摘しています。第一が消費者の計画性は購入データだけでは読めないとの指摘です。
購入に先立って買う製品を決めていた場合と、店頭で販売員との会話で購入したモノでは、その後の
レピートユーザになる可能性が異なるとのことです。第二が潜在的競争相手という、消費者がすべての選択肢を
対象に選択したか、どの競合商品と比較した結果購入したかは、データに表れないとしています。
第三が消費者の商品選択での誠実さといい、時間とコストをかけて商品を購入しないで、なんとなく買うケース
もあるとの指摘です。
購入者の潜在的な商品選択要素は、消費者購買履歴だけでは読み取れないとする問題というか課題を、
IoTの活用で使用状況から消費者ニーズを先取りした新しい商品開発や、課題先取り型の発明が生まれてくる
可能性があるような気がするのです。