コラム

水素水

細胞内の酵素で分解しきれない余分な活性酸素は、癌や生活習慣病、老化など、さまざまな病気の原因であるといわれております。活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える作用があるビタミンCやビタミンEと同様に、ポリフェノールが強い抗酸化作用があるとされています。こうした物質以外に、この活性酸素を減らし身体の老化を防ぐといわれるモノに水素水があり、テレビなどの健康番組で取り上げられています。

工業用の水素水は、半導体や液晶などの洗浄に使われ、農業分野では作物の成長や食品保存に寄与するとの研究もあるのです。水素は水を構成する原子なので、そもそも含まれているのに、何で水素水と呼ばれるものが話題になるのか少し疑問を感じていました。水は水素と酸素の化合物で,酸化されて安定な状態に保たれているのです。だから、水だけでは抗酸化作用はないのです。そこで酸素を水に溶かして水素濃度を高めた水素水が注目を浴びているのだそうです。

水素は食品の添加物として、酸化防止のための飲料への添加や製造工程で利用されているのですが、気体として蒸発したり、空気中の酸素と結合して水になってしまい、最終製品には残らないのだそうです。水素の効能については、様々な病気や体質改善への臨床効果の報告がなされていますが、水素のままで体内に長く留まることが出来ないので、なかなか評価が定まらないとの指摘もあります。

このように、水素の扱いは難しいのですが、水の中に存在させて、飲料として飲むためには水に溶け込ませた水素が逃げない内に直ぐ飲んでしまうか、長く水の中に溶け込むための工夫が必要になります。

水素が水中で細かい泡になっていれば、水中で浮遊して、浮上して抜け出してしまうのを防ぐことができるそうで、その方法が提案されています。2015年に登録になった特許第5746411号「気体分散液の製造方法」には、水素、酸素、窒素、ヘリウムを液体溶媒中に分散させる方法です。それぞれの気体を多孔性のシリコーンゴムからなる透過膜を通過せるために一定の圧力に加圧することで粒径500nm以下の微細な気泡の形で、液相と独立した状態で液体溶液に分散させるアイデアです。

水に溶解させても、ペットボトルやガラスのビンでは、水素が抜け出してしまうので、アルミの缶やパウチに詰めたモノが商品化されています。水素水に含まれた水素は体内でも気体になって呼吸とともに外に出てしまうため10分程度しか存在できないといいます。アンチエージング効果があるとされる水素水ですが、医療品や特保などの飲料ではないので効果を訴えることはできませんが、静かに飲用されているのです。

あと一つ私が興味を持った特許があります。2019年に特許になった特許第6628462号「老人ホーム、ヘルス関連施設、エステ関連施設、集合住宅施設あるいは公共施設、これらの施設に敷設される設備集合体とその運用方法及び水素ガス供給サービス情報提供方法」で、水素吸入療法、水素水をつくることも言及され、燃料電池など総合的な水素ステーションの概念です。もしかしたら未来を描いているのかも知れません。

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