コラム

機能クレーム

特許請求の範囲の話です。特許の権利範囲を広く強くするために特許請求の範囲(クレーム)、つまり請求項の記載・表現に知的財産に携わる人々は日夜努力していると言っても過言ではないでしょう。

先日ある判例の研究会で紹介された二つの判例がありました。

一方は、機能クレームが広く解釈され、他社の製品をカバーしていると判断された例です。また、他方で機能表現の上では権利範囲に含まれるとされても良いのに、権利範囲外であると認定されたケースです。

一方は、トルシアボルトという、一定のトルクで締めると先が破断して、それ以上きつく締まらないタイプのボルトがあります。このトルシアボルトの破断面のバリを取る機械で、特許第4354006号「端面加工装置」です。

バリ除去工具(グラインダ)の周りに、金属の粉の飛散防止用のフードを付け、この円筒状のフードの一部に金属粉を回収する機構を設けたものです。図面では金属回収機構は凹部を下に設けたものが描かれていましたが、全周に設けた方が好適であると言及されています。

そこで抵触が判断された対象製品は(イ号)は、飛散防止フードを蛇腹にしたものでした。蛇腹なのでフードの一部に円周状の金属粉末を回収できる凹部ができるのです。この製品は、先の特許の「フード部は金属粉回収機構を有しており」の機能表現に含まれると判断されました。

他方の権利範囲が狭く解釈された例は、特許第3559501号「パソコン等の機器の盗難防止用連結具」です。これはノートパソコン等の機器に盗難防止用の器具を取り付けるための横長のスリット(穴)があります。この穴の中に挿入し、くるりと90度回すことで、T字型の抜け防止が働きます。

T 型の抜け防止を持った主プレートと、スライドしてスリットに入る回し止めを設けた補助プレートがあり、主プレートにスリットに入れて90度回転後に、スラ イドさせることで、主副両プレートに空いてる穴が重なって両者を貫通する穴が作られ、その穴にワイヤーなどを入れて分離しないようにした盗難防止のワイ ヤーなどをパソコンのスリットに取り付ける器具です。これに対し、抵触を争われた対象製品は(イ号)は、主プレートと補助プレートがピンによって止められ ており、補助プレートを回転することでスリットに系合させる形状でした。主副プレートを「相対的にスライド可能に系合し、且つ両プレートを分離不能に保持 され」という機能表現には回転してスライドするタイプは含まれないと裁判で判断されました。

同じ様な機能表現クレームで、文言解釈が違い分 れたのは、何といっても、そうした機能がどこまで拡大して解釈できるか、つまり発明者がどこまで考えていたのかが問われるのです。一方の金属粉回収機構で は、円周状に設けるだけでなく、吸引装置や、磁石に付着させて回収するなど、多くの実施例で機能表現がサポートされていました。

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