有効特許
強い特許、良い特許、有効特許とは何かと、見極める方法はと問われることがある。
発明を評価することの難しさは、昔から言われ、技術に対する目利きなどという表現もされているが、これだと言う正解は無いともいえましょう。
出願時点での評価の難しさを人に譬えることもある。一流の学校を卒業し、しかも成績優秀な人が多く集まる企業で、その年の新人の中から将来の社長や幹部社員になるだろう者を特定できるかという質問に似ているのだ。
いくら優秀な人でも、与えられた仕事を全うし、活躍して万人から認められる成果を発揮できるかどうかは、様々な要素が作用してそこで頭角を現すことが少なくないのではないでしょうか?
筋が良いとか、センスが良いなどと言う、少しばかりあいまいな表現でしか表せないともいえるかも知れません。
しかし、時間軸が進むに従って、技術も人もその良し悪しが判明してくるもので、評価が難しいのは、どの分野の技術でも同じではないでしょうか?
複数のグループが、発明の評価を表す指標をあげて、何とか機械的に、つまりコンピュータで算出することができないかをチャレンジしています。こうした発明 の評価指標や分析手法は幾つも提言されたり、実用化されてはいるが、なかなかこれはというモノに出会ったことがありません。
ある企業が、こうした発明の評価で普遍的なものはないものか調査しました。
特許になった発明で、他社から多額の実施料を稼いだ特許をピックアップしたものと、他社の特許で、どうしても避けることができないで、多額の実施料を支 払っているモノを対象にし、有効特許とはどのようなものかを調査したのです。これらの特許について、技術的な観点と権利的な側面で、どのような要素を持っ た発明が有効で良い特許といえるかを見てみたのです。
技術的な側面では44%が「開発が先行」していた企業がモノにした特許でした。
続いて21%が、誰がやってもそうなるだろうという解決策である発明を権利化した「当然の帰結」でした。同じく19%が「業界の標準」になっている技術です。
残りの9%が「効果が大きい」発明だったり、7%が「ユーザが要求する機能」を権利化したものでした。
次に権利面を見てみると、29%が「侵害の確認が容易」、各27%が「権利範囲が広い」、「他社への権利行使を意識」した発明でした。
そして、残りの14%が「請求項が多い」、3%が「汎用的」な権利だったという結果が出ています。
何といっても課題を先取り出来る先行開発が有効特許を生み、当然の帰結や業界標準となる特許は、課題先取りの結果といえることが分ります。そうした結果他社への権利行使を意識した発明が最終的には強い、良い特許になるのです。