コラム

星の王子さまと特許

「星の王子さま」の本は、おそらく40から50年前に出会っている。のちにある地方都市の県会議員や市長を務めた元会社の女性から紹介されたはずだ。

そして、2014年になりある会合で、ご一緒したバラ好きの元サーチャーに頂いた論文にあった文章に、この星の王子さまの作者であるサン=テグジュペリは 「飛行機のプロペラ付き浮力システム」なる発明で、フランスで特許をとっているという記載があったのです。フランス特許証(NO.880098)で、出願日は1938年8月17日、1939年9月4日付けで特許になっていると書かれていました。

そのフランス特許は、実は特許第850098号でした。登録番号の一部が違っており、さらには出願日が1日違っていて、しかもタイトルは全く異なるものでした。

私は現物(公報)を確認することを重視しており、間違える可能性のある数字8→3、6,9などを入れて、いくたびか検索をしたが出てきませんでした。最終 的には8が5であったのです。登録日と出願日およびタイトルが示されていたので、さほど数字の違いは苦にならず特定できるであろうと思って調査を進めたが 見つからないのです。少なくとも開示されていた出願日および登録日が同一な案件は数件あったが、技術分野が全く異なっていました。

仕方なく出願日または登録日が同一のものも確認したが、一件だけサン=テグジュペリの発明があったのです。ところがタイトルと出願日が異なるものでした。 こうなると最後の二桁98の組み合わせで、まだ数字の記載ミスがある可能性があると思い拡大して調査したのですが、他には発見に至りませんでした。

見つけた特許は「飛行機や船のルート追跡装置」つまりナビゲーションの技術で、飛行機が対象の一部であることもあり、この特許であると推定したのです。くだんの元サーチャーさんの文章には、実は公報の現物は見ていないがと記述されていました。

特許調査のシーンでは、この程度の情報の曖昧さは付き物であると認識して調査に当たらなければならないが、和暦でいえば昭和13年(1938年)という古さで、参照した文献も不鮮明であった可能性もあり、深追いはしないことにしたのです。

サン=テグジュペリは文学者で飛行機パイロットになり、発明をしているということが私の興味をそそり、星の王子さまを改めて読み返す切っ掛けになったのです。

「星 の王子さま」は児童書の範疇に入るものでしょうが、あちこちの星を訪ねて歩く内に、事業家の星(ビジネスマンと訳されている本もある)を訪ねた際、世の中 で初めて見つけた星は自分のものになると言われ、いつも星の数を数えることで管理している人に出会った箇所があります。この星の住人は、星を所有できる理 由として、「誰よりも先に、一つの考えを持ったら、おまえは特許を取る。つまりお前のものになる。だから星もおれのものさ」という記載がありました。

最近でこそ、小説やドラマに特許のことが登場することも少なくありませんが、1943年に刊行された、しかも児童書に特許のことが書かれていることに感嘆しました。

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