新商標
2015年4月1日から商標の概念を変える新しい対象の商標が登場しました。
日本の商標の保護は、1884年(明治17年)にスター トした「商標条例」から、国際条約への加盟や経済情勢の変化に伴い、いくたびかの改訂が行われてきました。現行の商標制度は1959年(昭和34年)に公 布され、1960年4月から施行されたものに、その後のいくつかの改訂がなされております。
1991年(平成3年)には、サービスマークの 登録制度が導入され、それまでは形ある商品に付けれる、呼称や図形などが保護の対象であったものから、役務と呼ばれる、サービスに拡大したのです。ビジネ スにサービスを主体としたモノが増え、そうした業務で他社サービスとの違いを、顧客が認識できるようにしたマークが、商標登録の対象となりました。
また、1996年(平成8年)には、商品の外形や、お客さんが識別できる店頭の人形などの、立体物が保護の対象に追加されました。その後は、地域団体に対 する商標権の付与(2005年)、小売りなどの商売などのサービスに対する小売等役務商標が導入されたのが2006年でした。
そして、2014年に施行された新商標が、今回の対象拡大です。音、色彩、位置、動き、さらにはホログラムに保護の対象が一気に拡大しました。
今までの商標の概念を、大幅に拡大したものとなります。久光製薬の「サロンパス」(登録商標第296000号)、HISAMITSU(登録商標第1077392号)を例に見てみます。
コマ―シャルなどで流れている「ひさみつ」(ミラミファ~)が音の商標として出願されています(商標願2015-29806号)。動きとしては無限大マークが中央に登場し、順次無限大をデザイン化したHを頭文字としたHisamitsuに変わる動きです(商標願2015-29827号)。色の商標には、サロンパスのパッケージに使われている青と緑色の組み合わせが(商標願2015-29831号)。位置の商標にはパッケージの中での、赤や黄色の配色と位置(商標願2015-29828号)が出願されています。
ホログラムの例は、クレジットカードなどに付けられる、光や見る角度で、異なる色彩に見えるホログラム印刷が、株式会社三菱UFJフィナンシャル・グループから出願されています(商標願2015-30204号)。
何れも、新しい概念の商標であり、未だ登録例はないのですが、様々な商標が出現して、登録や類似の判断などが、どのようになされるのか商標担当者は固唾をのんで、見守っている状況でしょうか?
4月にスタートして間もないのですが、8月末時点で、874件の出願が出ており、その43%は色彩、29%が音、20%が配置、動きは7%、ホログラムは1%未満となっていました。