コラム

技術動向調査

最近、特許情報による技術動向調査の結果を見る機会がちょっと多くなっている。

調査専門のベテランが作った調査結果に、少なからず疑問があり、心配なことがあるので今回は苦言を呈することにしよう。私は電気メーカに勤めていた現役時代から、調査スタッフや技術開発担当者の作った動向調査を数多く見てきた。

そして心配していたのが、近年登場してきた数多くの調査結果を美しく見せる、多くの市販のツールだった。乱暴な言い方だが、検索結果が悪くても、美しいカラフルな図面に目を奪われ、正しい判断ができなくなるのではと感じていたのだ。

そしてこの数ケ月で、やはり何かおかしいと思った事例に複数直面した。

ある開発プロジェクトで、見せてもらった動向調査レポートがあった。著名な技術動向やマーケティング、経済分析を得意とする證券会社系列の調査レ ポートだ。数年かけてフィージビリティスタディを進めてきた技術について、始まる時点で外注調査をある企業が依頼したものだ。分厚レポートを見せてもらっ たが、基幹技術の動きも、重要な技術の流れも皆目見当がつかない。早い話がひと頃に流行った一件の特許情報に含まれる技術用語の出現頻度を見た分析のよう だ。

技術要素の塊がどこにあるかなどの山谷を表現したような山脈の俯瞰図みたいな表現がある。数年経ってどの技術が中心になったのか、初期の動向調査で 見た動向とどう違うかと意地悪に質問したが要領を得ない。5センチぐらいの特許情報のリストが付いていたが、誰も見ていない様子。研究を始めるにあたり、 技術動向調査をしなければならないので、先ずはやってみたというだけだったようだ。

研究の成果を多くの特許出願として参加した各社が出していたが、一件ごとの個別評価がなされているだけで、今までの開発方向と今後の技術動向を加味 して評価しなくてはならないので、技術開発の流れの中で、夫々の発明がどういう位置付になるのか、私のような素人にも説明してくれないかと言ったら無しの 礫。これでは経営トップ層にも、経理部門にも説明がつかない。

あと一例は、研究部門に仲間が作った調査の中間結果を持っていた時の事だ。このレポートは誰向けなのかと質問してきた。経営トップ層向けなら文句は ないが、私たちを相手にしたレポートなら、どの特許が邪魔で、技術の波及する方向はどうかが見えないと指摘された。調査担当は、開発研究者の意図するとこ ろを掴みその後、少しは技術者が欲しがる情報を含めた内容になりつつあるので、良い方向に向いてきた。調査スタッフは何を訴え、何が求められているかを しっかり意識して仕事をしないと無駄になる。

発明には命がある。技術開発を構成する一つひとつの発明の血が見える分析が欲しい、躍動感溢れ、こちらに行けば血を見る。つまり権利への抵触が心配 だ。此方が新たな開発の方向で、新たな命が産まれる可能性がありそうだ、課題が観えてくるマップが求められる。魂を感じ、開発研究者を動かすモノでなくて はならない。化粧して、美しく見えても、素顔が、心が美しい人にはかなわない。特許調査も同じだと思った次第だ。

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