コラム

技の伝承

毎年11月には恒例になっている特許・情報フェア&コンファレンスが開かれます。最近の特許関係の企業や事務所など特許を巡るサービスが一堂に会しており、情報交換や新たなビジネスの芽を感じ、大変刺激になるイベントになっています。

ま た、何十年の間に様々なところで一緒に仕事や研究や情報交換をしたことがある仲間に出会い、その後の活躍の様子を見たり聞いたりすることができることも私 の楽しみの一つになっています。今年は少しショッキングな話題に遭遇し、ちょっと考えさせられることがあったので開陳してしまいます。

一つ は特許情報検索のサーチを得意としている人の話です。現在、現役でバリバリ仕事をしている大手メーカの人です。最近大手電気メーカではリストラがダイナ ミックに行われ、彼の人の職場も例外ではないというのです。ところがその人、特許の訴訟になるような案件で、揉まれてきた検索の技を見込まれて、そうした 対象にはならないと自負しているのです。

定年後は調査関係の会社に再就職出来るのでまったく心配ないと鼻高々でした。しかし良く聞いてみる と、現在勤めている会社の後輩には検索の肝となるノウハウは伝えないというのです。自らの経験を人に伝えることはしない。そうすることで、自らの今後の職 場で生かされるというのが彼の考えです。私はその話を聞いて、ノウハウなんて棺桶には持って行けないんだよと言ってやりましたが聞く耳は持ちません。

と ころが先週、特許情報検索の技を相互に磨いていた委員会で40年近く前に一緒に議論して研鑽を重ねていた人が亡くなったということを、奥様からの連絡で知 りました。この人は化学関係のメーカで調査の仕事をしていた人ですが、会社内では一切ノウハウを伝承せず、相互に智慧なり、技を持っている他社の人としか 会話しないという職人のような人でした。これは彼の後輩に聞いた話なので間違いはないのです。その後輩がこういう調査はどうしたら良いのかと私にたずね、 あの智慧の塊、生き字引が社内にいるではないかと指摘したことがあるのです。その人が教えてくれないというので、こうしたらどうかとアドバイスしたこと が、いくたびもあったことを思い出したのです。

あと一つ、然る会社では最近調査ノウハウが伝承されてないため、調査の検証や品質が低下して いるというのです。この会社は調査専門の会社で、そうしたことが起きれば、いつかは注文も減少し、致命的なことになりえます。この話を聞いた人も昔は私と 色々と議論をした仲ですので、愚痴を言うために私を会場で探していたというのです。数年前に調査会社を定年になり、委託で仕事をしているのだそうで、現在 は後輩を指導することができない立場なんだそうです。

自らがノウハウを伝承しなかった所為ではないのかと指摘しましたが、調査会社であっても、その調査結果を評価できない人が上層部に来てしまい、技を磨くより当面の仕事の数をこなすことにだけに目が注がれているというのです。

この秋は3つの話題に遭遇し、技の伝承について改めて考えさせられたのです。

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