平面スピーカ
皆様お馴染みのスピーカです。ステレオ装置や携帯電話など音声や音楽を発生させるあのスピーカの話です。
スピーカの原理は昔から変わらないのです。永久磁石の周りにコイルと呼ばれる電線を巻きつけ、コイルに電気を流すと直角方向に動きます。その力をコーンと 呼ばれる紙などで作られたモノに伝えて、そのコーンを震わせることで、空気を震わせて音に変えます。コイルに流す電流を音や音声に合わせて変化させると、 コーンの振動が音や音楽に合わせて動き、空気を振動させ音波という空気の振動に変化します。
音波が耳に達すると鼓膜を振動させ、我々の耳に音声や音楽として伝わるのです。イヤフォーンもほとんど同じです。この空気を振動させ発生する音波は、減衰 が激しく距離の二乗に反比例して、小さな振動になってしまうのです。つまり距離×距離で割っただけスピーカから離れると聞こえにくくなってしまうのです。
このため、大型のスピーカで大きく空気を振動させることで、遠くまで音が伝わるようなことが行われます。皆様も経験があると思いますが、野外や大規模な音 楽ホールとか、催し物場だと大きなスピーカの傍では耳を塞ぎたくなるような大音響で、離れると心地よい音になることが良くあります。
このため、多くの音楽ホールなどでは、スピーカの位置をホールの構造に配慮して、客席での音圧がなるべく同じ様になるようにするため苦労しています。規模 が大きくなることにより設置したスピーカからの減衰が大きく、また他のスピーカからの音との干渉が起きたりして聞きとりにくくなるなど、困難な設計が求め られます。
こうした、音の減衰を距離の二乗に反比例しない構造のスピーカが登場しました。
平面波と名付けられましたが、大海の波のように遠くまで勢いが変わらず、つまり減少しない音波を出すことに成功したのです。発明された方にお聞きしました が、音の減衰は、距離に比例して減るのです。従来のスピーカは距離の二乗に反比例して減少するのに対し、距離に反比例するということで減衰率が格段に少な くなるのです。
原理は磁力の強いネオジウム磁石を平面上に複数設け、スピーカ表面に張られた薄膜全体を平面的に一度に振動させることで、例えば壁全体が一つの方向に振動して、大きな平面波を出すことに成功したのです。いくつかの発明がありますが、特許第4588944号「平面型音響変換装置」株式会社エフ・ピー・エスの発明です。
このスピーカは、国会議事堂などの大きな空間でのスピーカとして使われています。
また、大規模なイベントホールにも採用されています。駅のホームのスピーカでも使われているそうで、電車の案内放送は昔から聞き取りにくいのが当たり前のようでしたが、クリアに聞こえるようになったと言います。
また、自動車やモータボートなどの複雑な空間では、同社が開発した、特許第5314588号「複合スピーカ、音声画像表示装置、および車両用音響システム」では振動板とスピーカ基板の両方を振動させるというユニークな発明もあります。