商標注意報
この話は、取り上げるべきかどうか迷っていたのですが、法律の網を潜って、合法的にではあるが、こうした行為が現れ、少なからず様々なところに影響が出ていることもあり取り上げました。
だいぶ前から中国では、日本では著名な福島とか青森などといった県の名前が、商標登録されてしまい問題になっていました。それぞれの自治体などからの申し出で、登録が取り消されたケースも出ていました。
商標では他人の著名な商標(ブランド名など)や第三者の公益的なマーク(赤十字のマークや国旗など)は商標登録されることはありません。
著名ということは、それぞれの企業が時間とお金をかけて、商品やサービスなどの品質保持や、宣伝広告などを通した長い間の繰り返しによって、顧客の中に信頼性が醸成されてゆく、その結果として得られるものといっても良いかも知れません。
顧客をして他の企業などの商品やサービスとの識別力を持ったことにより商標として確立する面もあります。
しかしながら、こうした著名性が確立する前に、商標出願をしてしまうことにより、本来創作した者より先に権利を取得してしまう動きが出てきています。
今回の話題の企業というか、人物は毎日のように、新聞雑誌やテレビ、ラジオなどの媒体をくまなくチェックして、話題になりそうな商標を、当事者(創作したり主体となって活動する人々や機関など)より一足先に、商標を出願してしまうのです。先取りのセンスは素晴らしいものですが、これからそうした商標やマークを使って大々的にビジネスを展開して行くには、少なからず支障が出てきます。
今回の話題の人は、ここ数年で12万件以上の出願をしています。現時点で登録になった商標は6件です。
普通に商標登録出願をするには、3400円に商品区分×8600円が必要になります。つまり一区分としても12000円の印紙が必要になります。ところが出願しても印紙を貼らないで提出することもできるのです。出願手数料支払いの失念であれば指定された納付期限内に納付すればよいことになります。特許庁が支払いの機会を与える前であれば出願は有効です。
このことを利用して手数料を支払わず、分割などにより新たな出願をする方法も取っています。つまりお金を掛けずに出願した権利を順次継続させる戦略です。
多分、その継続期間内に、出願して商標を使う可能性のある者に働きかけ、それなりの費用で買い取りを請求するか、使用料を要求するのでしょう。
特許庁では「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」とする注意喚起をホームページで行っています。
https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_shouhyou/shutsugan/tanin_shutsugan.htm