コラム

古代生物体

1993年に作られた映画「ジュラシック・パーク」は、ドミニカ産の琥珀から取り出した吸血昆虫から恐竜のDNAが抽出され、卵ができ、凶暴な恐竜が生まれてしまい大変な騒ぎになる物語でした。

ストーリーや発想のユニークさにも驚きましたが、1992年にはドミニカ産の琥珀から昆虫のDNAを抽出した報告が医療科学誌にあったようで、その辺にヒントがあったのかも知れません。琥珀とは、一千万年以上前の樹脂の化石だそうで、樹脂に封止された昆虫や植物が含まれているものも少なくなく、こうしたものは珍しく、貴重な宝石や鉱物の一種とされています。

日本でも、弘前大学の農学生命科学部の城田安幸博士が実際に、古代の琥珀に閉じ込められた昆虫のDNAを取り出す研究をされていたそうです。絶滅した生物が蘇る可能性や希望を胸に研究をされているとのことで、ジュラシック・パーク並みの恐竜の再現もターゲットになっているのでしょうか?

古代動植物からのDNA回収の試みは、1980年代の中頃から盛んに行われていたようで、ミイラ化した組織、植物化石、凍結したマンモス、古代の種子からの取り出す研究がなされたのです。一部の実験や研究では、取り出された菌や胞子は、実験室の汚染物質だったとか、細菌の年齢や真正性を確認していなかったものがあり、結果について懐疑を唱える人も出ているとか。

こうした古代生物抽出の流れの中で、1994年 10月28日にアメリカで出願され、特許になったアメリカ特許第5593883号「古代の微生物」という発明がありました。日本ではPCTの公表特許公報で公開になっています。特表平9-508789号「古代生物体]ですが、審査請求はなされませんでした。

日本の公報で64ページにもわたる膨大なものです。中身は天然に存在する樹脂(琥珀やオパール)を殺菌し、この樹脂から抽出した生物体を培養して増やす発明です。

実際のやり方は、全部で 4種類示されていましたが、琥珀の表面を殺菌し、充分ばい菌がなくなったところで、粉砕するか、くり抜いて中の動植物や細菌を取り出すのです。

こうして取り出された微生物の中には、今日存在しないものや、優勢、有効でないものもあり、様々な動植物に対する抗生物質や耐菌物質が含まれている可能性が高いのだそうです。明細書の中には年代の特定方法も示され、2500から4000万年前に存在していた古代菌(バシラス種、その他の酵母など)が抽出できたそうです。実際に国際的な菌の寄託機関に登録された14種類の菌などが示されていました。

用途は、家庭の洗剤、微生物検査剤、診断試薬、防腐剤、殺虫剤、ウイルス・寄生虫からの保護があります。また、糖尿病、偏頭痛、老化、高血圧、高コレステロール症、動脈硬化、冠状動脈疾患、ガン、パーキンソン病など代謝障害の治療に使えるかも知れないのだそうです。

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