コラム

剪定鋏

庭に何本かの植木があります。この時期はみどりが美しく癒されます。
しかしながら、狭い庭に何本もの植木があると、毎年何回かは枝や、葉を切り詰める剪定が必要になります。
中には年に1メートル近くも伸びる枝もあり、手を掛けなければ枝が絡み合うほどに繁茂するのです。

電動のトリマーを使うこともありますが、やはり機械的に一律に切り詰めるのではなく、枝の重なり具合や、
樹形を見ながら切る所(枝)を決めてゆきます。その昔、植木職人さんに、どのように切るのかとテレビの取材で聞いた人がいました。
ベテランの植木職人は、木の方からここを切ってくれと訴えて来たところを切っていると、さりげなく答えていたのを聞いたことがあり深く印象に残っています。

私は40年以上にわたり自分の庭の植木は自分で剪定しています。
最近は枝がクロスし、重なりそうな枝を数か月後の木の伸び具合を予想しながら、風通しが良くなるよう適度な隙間ができるように切ることで、病気になりにくい元気な樹木で、樹形が整うことが分かってきました。
もしかしたら、そうした木のご機嫌を伺いながら剪定することを、先のベテラン職人さんは、木のほうからここを切れといってくると表現したのではないかとフト思えるようになったのです。

しかしながら、寄る年波なのか、手の握力が極端に低下して、太めの枝や、梅の木のように硬い木を切ると、
手の指が固まってしまうような、腱鞘炎の一種のばね指とも言われる症状になってしまうことがありました。
ところが、一般の道具屋さんや鋏専門のお店では、江戸時代もしくはもっと前から使われている剪定鋏がほとんどで、切れが悪くなったら細目に研ぐしかなかったのです。

先に横浜で開催されたガーデニングショーで、道具コーナーに出展されていた鋏を手に取って驚きました。
私のような人が多くなっているので、力を加えずに太めの枝を切断してしまう鋏なのです。
兵庫県の三木市にある金物の町「みきかじや村」(商標登録第5853917号)の鋏です。
400年の歴史を誇る「三木金物」(地域団体商標を取得、登録商標第5114617号)の商品でした。

求めた鋏は、2つの軸を持っており、グリップの開き具合によって、どちらかの軸を中心に刃を動かすため、
比較的に弱い握力で刃に加える力を移動させ、グリップの力を刃の角度によって切り替えてしまうのです。
普通の鋏のような片刃をスライドさせて切断するのではなく、カミソリのような薄い両方に刃のついた両刃を、受床といわれる部分に押し付けて切断するのです。
これは、特許第5547700号「替え刃式剪定鋏」としてレーザーソー工業(株)が権利化しています。

グリップの力を調整できるバネをつけたりして、構造は複雑ですが、替え刃式の剪定鋏として、私の握力低下を補ってくれています。

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