コラム

免疫力

十数年前に勤めていた大学に非常勤の内科の先生がいました。大学での医療関係の技術についてアドバイスするために必要に応じて勤務するお医者さんでした。大学の中では心電図の解析や、健康管理など複数のテーマがあり、打ち合わせでご一緒することが少なくありませんでした。この先生、そもそも病気は自らの治癒力で治せるもので、対処療法としての薬はあまり出さない方針で、薬を出すときも漢方薬中心の処方です。

この先生から紹介された本に「免疫革命」(著者:安保徹)というものがあり、この安保先生の治療は爪の生え際などの自立神経のツボを刺激することで、様々な病気の治療ができるというのです。西洋医学は病気を局部的な現象として捉え、近視眼的な処方に傾いているといわれていました。先の内科の医師も同じ考えで、そもそも病気にならない身体つくりをしてゆかなければならないといわれ、私には癌になったら、対症療法としての抗がん剤は使わない方が良いといわれていたことを思い出します。

癌の治療といえば、癌そのものを切除する外科的な手術、放射線などを照射して癌を死滅させる方法、さらには抗がん剤といわれる薬を処方する化学的療法が主なものでした。これに加え、自らが持っている白血球などの異物に向かって攻撃をする働きを行う自己免疫力を高める治療です。身体全体の神経系統を含めた免疫力を向上させることで病気に強い身体作りをする治療方法が着目されています。

昨年ギラン・バレー症候群という全身の免疫力の過剰反応で、抹消神経障害(ニューロパチー)になり、数日で抹消神経への運動神経、感覚神経、自律神経が大きなダメージを受けて、免疫力の低下を身を以て体験しました。発病から半年経ちましたが、未だ手の指先のしびれがあり、歩行動作が時々ぎこちなくなります。

私の場合は、免疫グロブリン(抗体)を点滴で静脈に注入することで、弱まった免疫力を早急に補うための治療が行われました。人の血液から抽出した蛋白質を投与されたのです。これも自己快癒力が極端に衰えて重症にさえなっていなければ、免疫力で時間をかけて回復させる治療法がなされます。

先の内科医の紹介で知った安保先生は1980年にヒトNK細胞抗体を作製した方でした。NKとはナチュラル・キラーと呼ばれる細胞で、ウイルス感染細胞やがん細胞をいち早く発見して殺してしまう働きがあり、インフルエンザなどの感染予防や癌予防の決め手だともいわれています。このNK細胞は高齢になるほど、また過酷なストレスなどの自律神経失調によっても活性化が衰えるとされています。

NK細胞の活性化を促す物質として、酸性多糖類があることを見出した発明があります。乳酸菌OLL1073R-1菌で、ヨーグルトを作るために使われるブルガリア菌の一種ですが、この菌とOLS3096をスタータ菌として製造する発酵乳(特許第5177728号「NK細胞活性化剤」)、またヨーグルト(特許第5744462号「NK細胞活性化剤」が特許になっています。株式会社明治が権利者で商品化されています。

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