使えない単位
単位といえば数量を表す基準となるもので、計量法という法律によって、どのような物(法律では物象の状態の量という)を測るには、どのような名前(計量単位)で呼ぶ(使うか)かが決められているのです。
法律では、取引や証明、産業・学術・日常生活の分野で、良く使われるもの72の量(長さ、質量、時間、電流、温度、物質量、光度、角度など)が決められており、その他に政令で17の量(繊度、比重、引張り強さ、硬さなど)が決まっています。
単位は、色々な取引や生活する上で、お互いが同じ量かどうか明確にしておかないと混乱することになるので決めているのです。国際的にも統一を図るために条約が締結されたのが1875年で、日本が昔から国内で使われていた尺や貫などを止めてメートル法を採用すべく条約に加盟したのが1885年でした。
こうした世の中で使われている計量の単位を統一するために、慣れ親しんできた単位を変えることには、それなりの抵抗もあり、切換えの経過時間が必要であることは当然でしょう。このような経過の期間が1999年9月31日で切れ、10月1日からは国際度量衡総会で決議された国際単位系(SI単位)に移行したのです。
ここで、特許の明細書を書くのにも随分と使われてきたいくつかの単位が使えなくなりました。例えば、長さの単位ではミクロン(μ)がメータ(m)に統一され、マイクロメータ(μm)となりました。最近は少なくなりましたが、周波数を表すサイクル(c)やサイクル毎秒(c/s)もヘルツ(Hz)、磁束のマクスウェルがウェーバー(wb)になり、磁束密度のガンマやガウスがテスラ(T)、磁界の強さエルステッドがアンペア毎メートル(A/m)になっています。音圧もホンがデシベル(dB)、力も重量トン・重量グラムがニュートン(N)になりました。熱量を表したカロリーもジュール(J)です。ただし、栄養学ではカロリーは使えるそうです。
何れも法律で決められたものですから、1999年10月1日以降の特許出願で発明の内容を説明するための明細書の記載では、以前の単位は使えなくなりました。特許庁では、記載が不備として拒絶する方針なのです。
ところで、話は使えなくなった単位とは離れるのですが、コンピュータの大容量記録装置が、続々と開発されてきています。最近のノート型パソコンにも500GB以上のディスクが搭載されており、一昔前の大型コンピュータ並になってきました。パソコンの内臓ディスクなどでも登場していますが、外付けディスクはテラバイト(TB)が常識で、その3桁上のペタバイト(PB)が登場しています。ご存知のように、10の3乗がキロ(k)ですが、6乗・メガ(M)、9乗・ギガ(G)、12乗・テラ(T)、15乗・ペタ(P)、18乗・エクサ(E)、21乗・ゼタ(Z)、24乗・ヨタ(Y)という接頭語をつけることになっているそうです。
小さい方では、マイナス3乗毎に、ミリ(m)、マイクロ(μ)、ナノ(n)、ピコ(p)、フェムト(f)、アト(a)、ゼプト(z)、ヨクト(y)となります。