コラム

中国アップルのiPhone6の意匠権侵害をめぐる熾烈な争い

中国でiPhone6、iPhone6 Plusを販売している中国現地法人のアップルコンピュータ貿易(上海)有限公司(以下、中国アップル)は、北京知的財産法院に対し、北京市知的財産局の判断を取り消すように行政訴訟を起こしていたが、同法院はこれを受理したとこのほど発表した。

これによって中国でのiPhone6、iPhone6 Plusの意匠権をめぐる争いが、また振り出しに戻ったのではないかとの観測が流れるなど、知財業界の注目を集めている。

この紛争について、北京銘碩国際特許法律事務所(http://www.mingsure.com/Japanese/about.asp)の金光軍弁理士らの解説をもとに紹介してみる。

紛争になっている意匠権について

シンセン市佰利営?服務有限公司(以下、佰利=バイリ=公司)は、2014年12月、中国アップルが売り出したiPhone6、iPhone6 Plusがそれぞれ自社の意匠専利を侵害したと主張し、北京市知的財産局に二つのスマートフォンの販売の差し止めを命じるよう求めた。

佰利公司が取得した意匠権は同年1月13日に出願された「ZL201430009113.9」などであり、同年7月9日に登録公告された。

その意匠権とiPhone6、iPhone6 Plusを比較してみると次の通りである。iPhone6 PlusはiPhone6に比べて、ただサイズだけ異なるので、iPhone6 Plusと係争意匠専利の対比は省略する。


意匠権は維持され販売停止の命令

意匠権侵害と訴えられた中国アップルは、2015年3月30日、国家知識財産局(SIPO)の専利復審委員会(審判部)に、佰利公司の所有する専利は無効であるとする無効審判を起こした。

これに対し専利復審委員会は、2016年1月6日、意匠権の有効性を維持する決定を行った。

この決定を受けて北京市知的財産局は、iPhone6、iPhone6 Plusが意匠権を侵害したと認定。中国アップルにiPhone6、iPhone6 Plusの販売を差止める決定をくだした。地方行政機関は賠償金額を決定する権限がないので、この決定に基づく賠償金支払いの命令はなかった。

紛争は振り出しに戻る

中国アップルはこれを不服として、北京知的財産法院に対し、北京市知的財産局が認めた専利侵害紛争処理決定書を取り消し、iPhone6、iPhone6 Plusが意匠権の保護範囲に属していないことを認める行政訴訟を起こした。

北京銘碩国際特許法律事務所の解説によると、北京市知的財産局の行政処理決定は終局の決定ではない。しかし中国アップルが行政処理決定を受領した日から15日以内に法院に提訴しなかったり、販売中止をしないと北京市知的財産局は法院に強制執行を申請できる権限があった。

そこで中国アップルは、北京知的財産法院に行政訴訟を提起したもので、同法院は6月15日にこれを受理した。

紛争は決着がついていないので、iPhone6及びiPhone6 Plusの販売には影響がないという。

知財法院がどう裁くか注目集まる

ここで注目したいのは、知財専門の裁判所として中国でスタートして知財法院が独自の判断でどのような判決をくだすかである。とかく中国の裁判所や行政組織は、中国企業と外国企業が争った場合、自国や自国企業に有利な判断をくだす保護主義がまかり通ると感じていることが多かった。

特に地方での争いでは、地方保護主義が堂々とまかり通り、外国企業には理不尽な判断や判決が下ることが珍しくなかった。

国家知識産権局でもこうした地方保護主義があることを公式に認めたことがあり、「北京・上海には地方保護主義はない」との発言もあった。

知財制度、政策では欧米先進国と肩を並べるまでに整ってきた中国だが、果たしてこの意匠権をめぐる紛争に知財法院がどのような判断をくだすか、中国の知財関係者も非常に注目しているようだ。

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