三次元画像
人間は二つの目を持っています。
この二つの目で見ることで、前後左右の立体感のある景色を見ることができます。
こうしたことは当たり前のようにできていますが、私は加齢のためといわれていますが左の眼の網膜にリング状の出っ張りが出てきていて、両方の目で特に近くを見ると視点が合わない見にくい現象が出てきています。仕方がないので片眼をつぶり見ている有様です。
このようなことは普通のカメラでは、一つのレンズで撮影されますので、起こりうることで、いわば私は一台のカメラで撮影したような感じで、モノを認識している状況になっているのです。
昔から二つのカメラを左右に配置して、立体(三次元)写真を撮影するカメラがありましたが、撮影された
左右二枚の写真を特殊なメガネで合成することで立体的に見える写真を提供(ステレオビジョンともいわれる)するのです。
最近のニュースではスマホに左右二つのレンズを搭載して、立体(三次元)画像を撮影する機能が
出てくるようです。
このような左右二つのレンズを持たないでも、簡単に三次元画像を合成してしまう技術が開発されました。
これはビデオカメラで撮影したテレビのような動きのあるデータ(動画)から三次元画像を作り出してしまう
技術です。カメラを動かしながら連続してシャッターを押した連写された写真からも三次元画像を合成することもできます。
この技術は、動的視差といわれる運動視差を使って画像処理をするものです。運動視差というのは連続的に撮影された画像では、前方のモノの動きと、遠方(奥行き方向)の物体の移動速度が異なるという現象に着目して
画像処理を行うことで、平面的な画像から奥行きのある三次元(3D)画像を合成する技術です。
会津大学の学長を務める岡嶐一先生の発明です。
この先生は私も良く存じ上げていますが、学長という学内外での多忙な仕事の中でも、教授時代からの研究を
継続するとして、両立させることを条件で学長を引き受けた方です。
最近の日本経済新聞(2019年5月13日)の科学技術面に「スマホで撮って3D作成」という記事で取り上げられていました。
特許第5608194号「動画像処理装置および動画像処理プログラム」画像を構成するポイントごとに動きを検出して、その移動距離から、奥行きの仮想距離を得て実距離に変換する処理です。複雑な連立方程式で計算するのですが、市販されている一般的なスマホでも20秒程度で三次元画像を生成でき、特殊で高速な演算装置が要らないのです。その後も数件の出願があり、未だ公開されていない発明もあって、ドローンでの撮影データから立体地図を合成したり、自動車のドライブレコーダからのデータを元に夜間を含めた自動運転技術への応用も考えられる研究成果です。