ロボット工学三原則
アメリカの作家であり、生化学者でもあったアイザック・アシモフ(1920年1月2日-1992年4月6日)が、1950年に出版したSF短編小説「私はロボット」の中で提唱された「ロボット工学三原則」というものがあります。
ロボットが人の作業を楽にするためのツールから進化して、独立して物事を判断するまでになっても、人間との協調が無くては生き残れないとして、ロボットは下記の三つの原則を守らなくてはならないと規定したものです。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を見過ごすことによって、人間に危害を及ぼしてはならない。(安全の原則)
第二条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。(安心の原則)
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己を守らなければならない。(安定の原則)
既にホンダ技研のアシモに代表される二足走行ロボットのような、人に近い動きをするモノまで登場しています。家庭電気製品には自律制御という技術が採用され、便利な自走式のロボット掃除機なども家庭の中にまで入ってきております。
こうした中、2006年から2010年までに、NEDO独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構が「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」を推進し、将来の社会ニーズに対応してロボットの要素技術の開発を促進してきました。
これらの研究開発成果が、いよいよ世の中に製品として登場してきているのです。
工場の中でも、生産ロボットは大活躍です。工場では人手でやれないような作業に各種の工作機械が登場していることは良く知られています。こうした産業機械は人の命令により効率よく単純作業などを行い、安心、安定の原則が実現されていました。
しかしながら、機械の動作範囲には人が入らないようにするなどの対策で安全を確保しているのが常でした。ところが最近は、人間との共同作業や協調作業をこなすロボットが登場してきたのです。
ロボットの動作中に人とぶつかったとか、何かと接触したら、動作を止めるか、危害が加わらないように力を緩めるのです。こうした制御をおこなうロボットがファナックの特許になっています。特許第4938118号「人間協調ロボットシステム」です。
実 はファナックは会社のカラーを黄色にしていました、製品のロボットは目立つように、きれいな黄色で統一して、一目でロボット工作機械の存在を示していまし た。工場の外観から作業着、備品まで黄色だったようです。ところが2014年4月に発表された製品は若竹色なのです。これが人間協調ロボットで、触れても 安心なので、従来の黄色いロボットと区別するために色を変えたとしています。
この人間との協調型ロボット工作機械は、先のNEDOの開発成果の一つですが、技術が会社のカラーまで変えてしまうのでしょうか。