コラム

ムースチョコレート

もう30年以上前のことでした。ベルギーに行った際に、ここのチョコレートは舌ざわりも味も良く最高だといわれ、少々お高いチョコレートを求めたことがあります。メーカやブランド名などは忘れてしまいましたが、
当時の私にはそんなものかと思う程度で、感激するほどの味であったかどうかは定かではありません。
ただベルギーではそうしたチョコレートが販売されていて、わざわざ買いに行く人がいるという記憶が今でも鮮明に残っています。

また、ある時にドイツに住んでいた知人が、ミルカというチョコレートを買ってきてくれたことがあったのです。これは口どけがなめらかで、美味しいものだと思ったのです。やはり我々の口に入るチョコレートは少しザラザラ感があるなと感じたことがあるのです。このチョコレート、当時は日本でも販売されており、見かけると求めて来たものでした。しかしながらあのチェルノブイリの原子力発電所のメルトダウン事故以来、周りに飛散した放射能汚染の草を食べた牛が産地に多く、それ以来供給が止まり、日本では入手できなくなっていたのです。最近になり近くの輸入品を扱う食品屋さんや、ネットでも見かけるようになり、ネットで注文すると、海外から直送されてきます。

最近は日本のメーカの市販のチョコレートも多様化してきて、なめらかさも大変に素晴らしいモノが出てきていますが、美味しさはミルカでしょうか。

チョコレートといえば、硬いもので、口の中で溶ける形が多かったのですが、生チョコといわれるものは、ほとんど口に入れた途端に溶けて無くなってしまうものまで登場しています。

なかでも「空気を抱いたやさしいチョコレート」、「きめこまかい泡がふわっふわっととろける」と表現されたムースチョコレートがあり、口当たりがよろしいそうです。

しかし、一昔前のチョコレートと言えば、中の気泡は禁物で、エアーを含まないように色々と工夫した製造方法が発明に登場していました。何しろ、堅いチョコレートに空気が入っているとザラザラした食感になり、好ましくなかったのです。

ところが時代が変わり、細かい気泡をたくさん含ませると、ムースのような食感になり、このようなムースチョコレートも好まれるようになったのです。

チョコレートの生地に、減圧下で気泡を混入する技術や、溶かしたチョコレートをホイップさせながら急に冷やす技術があります。気泡がある中で、なめらかな感じを出すために植物性の固体油脂を含ませる発明もあります。ムースチョコレートの発明は1970年代初めから登場していますが、製造の時の制御が難しく大変だったようです。

簡単な方法で均一な微細な気泡を保持できる発明を紹介します。出願人は花王で、特許第2726535号
「気泡入りチョコレートおよびその製法」です。構成脂肪酸残基の炭素数が58以上のトリグリセリドを数パーセント含ませた生地を使うことが特徴です。型くずれを起こしにくい気泡入りのムースチョコレートが出来るのです。

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