コラム

ペプチド

数十年も前の話ですが、大手の製薬会社の開発部門を見せて頂いたことがあります。
そこには白衣を着た人が顕微鏡を覗き込んで、全国各地から集めた土から微生物を抽出して、世の中に未だ知られていない新しい微生物を見つける所でした。ここで見つけた微生物を培養してライブラリーに登録しておくことを延々と続けているのです。

ここで培養した微生物が、色々な病気の克服に役立つものであれば、薬の形に作り込み、さらに副作用などのテストを繰り返し、動物(モルモットなど)への投与から人への投与と順次実験と検証を重ね、臨床試験などを経て、医薬として認証されるのです。

創薬は気の遠くなるような地道な研究・開発の過程があり、初めの微生物発見から培養までを専門に行っている人々は一生の内に一つでも薬になるモノが発見できれば大変ラッキーな仕事ができた人と言われるとまで説明されていました。

ところで、こうした自然界の物や特定の化学物質から作られる薬は低分子医薬品と言われ、飲み薬などが昔から長年使われてきました。分子量が小さい薬は体内のいたるところに入って行くために、ある病状には効果があるが、他の所に作用してしまい、いわゆる副作用と呼ばれる現象なり、悪い影響のある薬も出てきてしまうのです。

最近話題になっているバイオ技術などで抗体に作用する高分子医薬品が登場して、標的となるタンパク質に作用するため副作用が少ない薬ですが、開発費が高くつき薬価が高額になり、分子が大きいため細胞膜を透過しにくい短所があるといわれています。

これらの医薬品の中で中間に位置するのが中分子医薬品ともいわれ、複数のアミノ酸からなる化合物ペプチドです。特定の標的となるタンパク質にだけ作用するので副作用が少なく、しかも安価にペプチドを作ることが出来ると期待されています。

ペプチドでの創薬は半世紀前から指摘されていましたが、体内の酵素によってペプチドが分解されやすく、薬としての効果が思ったほどでないとの指摘もありました。機能性のペプチドは皮膚細胞の増殖活性化を促すとして、化粧品の材料として実際の商品も登場しています。

体内では細胞内のリボソームが天然アミノ酸と結合してペプチドを合成します。このような天然の産物でない人工RNA触媒「フレキシザイム」を触媒に使いN-メチル酸や環状構造の骨格を持った非天然型アミノ酸を含んだペプチドを作るアイデアを東京大学の菅裕明教授が提唱されました。特許第6357154号「荷電性非タンパク質性アミノ酸含有ペプチドの製造方法」など何件かの製造方法が権利化されています。

この発明によれば、1時間程度で1兆種類のペプチドが作れるそうです。これから新薬になる候補を選ぶ、特定の標的となるタンパク質に作用する特殊ペプチドを選び出すディスプレイ技術もあります。
特許第5837478号「ペプチド翻訳合成におけるRAPIDディスプレイ法」です。これらの発明は特定の病気の原因となるタンパク質に作用する特殊ぺプチドを安価に製造できる可能性がある夢の技術なのです。

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