ニンニク
ニンニクというとあの独特の匂いが人によって好き嫌いを分けています。夏バテ防止とかスタミナや滋養強壮があると言われ好んで食べる人もいます。
餃子に代表される中華料理には少なからずと使われており、ラーメンなどにトッピングとして用意されていることもあります。和食でもカツオのたたきや馬刺しなどの臭みを消すためにすりおろしたニンニクが出てきます。ニンニクの球根を乾燥させたガーリックパウダーなどはイタリア料理、フランス料理、韓国料理など様々な料理の調味料に使われています。その昔は薬として使われ、現在でも健康補助食品として飲みやすく加工され多くの商品が登場しています。
そもそもは中央アジアが原産地で、紀元前3200年頃の古代エジプトでも栽培され、使われていたようでその歴史は古いのです。
世界のニンニク生産量の8割は中国だそうですが、日本国産の8割が青森県産だそうで、青森に行くと様々な加工品が売られています。私は醤油に漬けられたニンニクを青森に行くと買ってきたものですが、食べたときは殆ど匂いが気になりませんが、家人には臭うと嫌われます。
この臭気の元であるアリシンは身体に吸収されにくいビタミンB1分解因子であることを突き止めた研究がなされました。1952年に京都大学の藤原元典先生と武田薬品工業が提携して研究した結果確かめられました。ビタミンB1がニンニクの成分「アリシン」と結びついて新しい物質に変化していたことが判明したのです。その物質は「アリチアミン」と命名され、通常のビタミンB1よりすぐれた性質をもっていました。「ビタミンB1誘導体」はニンニク特有の臭気を伴いましたが、ステーキを食べた後にニンニク臭を消すためにコーヒーを飲むという欧米の習慣をヒントに、コーヒーの香り成分のひとつである「フルフリルメルカプタン」を還元させたものをビタミンB1に結合させました。その結果生まれたのが著名な「アリナミン錠」でした。
所でニンニクの臭い成分「アリシン」を生成させて、健康増進成分を高める技術は、いくつか提案され実用化されています。
ニンニクを裁断して酵素反応によって生成し、その後水蒸気蒸留、オイル含浸などで目的物を得る方法や、アルコール水溶液に長時間浸漬する方法などがありました。しかし、それぞれの技術は100日以上の長期間を要し、加工に大型タンクなどを必要としていました。
ニンニクを裁断などの手を加えずに、収獲後の生の状態で0℃から10℃の低温状態にして保存し(冬眠状態)、その後45℃から65℃の温度で1から2週間加温貯蔵することで健康増進成分S―リルシステイン含有量が顕著に高めることができる発明が、青森県(産業技術センタ―)でなされ、特許第4070138号として登録されています。
加熱温度を変えることで増強できる有効成分が異なり、様々な健康増強成分を得ることができ、通常のニンニクより刺激臭が弱い食品、薬の材料や調味料ができました。