ドローン
4月になり首相官邸にラジコンの飛行物体が落ちていたというニュースが流れました。
四つのプロペラを持って無線で操縦制御されるヘリコプターのような無人飛行機で、中国のメーカが開発したファントムと呼ばれるカメラを搭載しており、パソコンなどでカメラ映像を見ながら飛行を制御することができるモノです。
そもそもドローンは軍用の無人飛行機であり、無線で操縦される飛翔体で、モニターを見ながら操縦するのですが、衛星回線を通して世界のどこにでも飛ばすこ とができるモノも登場しているようです。さらにはGPSを搭載して自分の位置を確認することで、飛行ルートをプログラムして目標にまで自動運転する飛行機 まで登場しているのです。軍事用では無人偵察機として使用され、攻撃対象の状況を上空から撮影する目的で多く使われているようです。
先に官邸に到達したドローンも、カメラを搭載し、遠隔地から飛行の制御をするとともに、撮影するカメラを上下左右に制御して上空からの撮影に使われること が多いようです。メーカのホームページを見ると空撮画像が数多く示されており大変美しい映像でした。空撮はカメラアングルが異なるため、今まで見たことが ない感動的なシーンが多くなっているのです。
このため、映画やコマーシャルなどの映像産業でも、実用化されていて、既に多くの現場で使われています。有人のヘリコプターや飛行機に比べ、桁違いに安価 で済むそうです。最近は人が入って行けない災害現場の現状把握、農作物の農薬散布、生育状況把握、さらには油田探査などにも実用化されています。これから も多くの場面で使用されることが増えることが期待されています。こうした民生用のドローンの市場は数年の内に6000億円にも達するとの予測もあり、多く の企業が参入をしています。
こうした便利な道具で今後も用途が拡大する可能性を秘めたモノが、今回のような形で官邸や、アメリカではホワイトハウスに墜落したり、重要機関への攻撃 や、威力妨害に使われる可能性が指摘されるのは残念な気がします。あまり大胆な規制が行われないことを祈らざるを得ません。
特許の世界では、中国のベンチャー企業であるSD DJIテクノロジー社が数多くのPCTを使った出願を出しております。
アメリカ特許第8924044号「遠隔制御装置及びシステム」では飛翔体とコントローラの上りと下りのデータの干渉を防ぐ基本的なアイデアが権利化されています。またスマホを使った制御のアイデアも国際公開WO/2015/14115「遠隔制御方法及び端末機」として出願されています。
こ のメーカは先の官邸に墜落したドローンを作っているメーカです。すべて確認した訳ではないのですが、2013年から出願があり、世界各国をPCTで指定し ていますが、指定国に日本が見当たらないのはどうしてなのか気になります。日本企業は競争相手にはなり得ないと見ているのか、単なるミスなのかわかりませ ん。