ドローン輸送
小型の無人飛行体であるドローンがホビーや空撮の用途から、最近はドローンによる荷物の輸送が現実のものになりそうです。
現在では個別の事業所や家庭に配達する宅配サービスが、盛んに使われています。日本では離島や過疎地域を除けば、発送後およそ一日で到着が約束されています。
多くの配達サービスでは、全国各地に集荷場が設けられ、集荷した荷物は地域ごとに設けられた中継センターに集められて、大型のトラックや航空機などを用いて一括して移動します。いくつかの地域ごとに設けられた中継センターを経由して、最寄りの配達拠点に移動して、地区ごとの配達手段である荷物の運搬車に移送されて個別の家や事業所に配送されています。個別の荷物が配達途中のどこにあるかは、ほぼタイムリーに把握され、
ユーザーが見ることができます。
こうした宅配サービスも多くの人による配達員がサービスを支えており、最近は配達員の人手不足で、一日で配達できる物量が限られることと、離島や過疎地でのサービスには長距離輸送のコストが高くなり、サービスの維持が課題になっています。
そこで検討されているのがドローンを使った宅配サービスです。ドローンは遠隔無線制御(通称ラジコン)で、人が制御していることが多いのですが、完全自動運転(自律航法)も視野に入ってきております。
全地球測位システム(GPS)を使って、ドローンの位置を導き出し、目的地まで自動航行をするのです。現在のGPSの位置精度は数メートル単位で、ドローンをきめ細かく導くことができません。そこでドローンに搭載されたカメラで画像を見ながらドローンの移動方向を特定する特許が権利化されています。
特許第6324649号「検出システム、検出方法、及びプログラム」です。航空機と違って前後左右上下と自由に飛ぶことができるドローンの飛行を制御するという発明です。
また、宅配では撮像することで、プライバシーの侵害になることに考慮して、目的地に近づいたら、着陸部からの遠隔操作信号を受けて自律航法から遠隔制御に切り替えるアイデアが出願されています。
国際公開番号WO2017/006421号「回転翼機着陸装置」です。
こうした発明により、ドローンによる貨物の輸送の実用化が着実に進んでいます。
政府でもこうしたドローン輸送の飛行精度向上のために準天頂衛星である「みちびき」を使った情報提供を2018年11月から始めると発表しました。これは日本を含むアジア・オセアニアの上空を8の字形に周回する日本独自の衛星を打ち上げているのです。すでに4基が天空を周回しております。2023年度までに7基体制で運用に入るといいます。アメリカのGPSによる位置決めにプラスする形で運用することで、水平方向に60、垂直30センチメートルの誤差精度で位置が特定できるようになるとの実験結果も出ています。こうして2020年にはドローン輸送が実用化されるそうです。