チョコレートの効果
「この菓子は、人の血液に滋養を与え、精神を補う功あり」と明治6年岩倉具視欧米使節団が言ったそうです。日本に初めて上陸したのは、横浜の外国人居留地を経由して入ってきたものだそうで、「貯古齢糖」とか「千代古齢糖」と呼ばれていたのです。
私は、本当は食べると歯が痛くなるし、歯についたものがなかなか取れないので、虫歯になるに違いないと予ねてから思い込んでいました。チョコレートにはいわれなき誤解があったというのが、関係者の話です。このところあちこちの大学の先生が、多方面にわたって、研究をしている事がわかりました。
「カカオポリフェノール」は、抗ストレス作用があるとか、抗酸化物質である胃潰瘍のシメチジンやスクラルファートに匹敵する効果があったとか、胃潰瘍ができている胃壁に傷をつける活性酸素をも抑制したというのです。酒を飲む前にチョコレートを食べれば、胃にやさしいのだそうで、ブランデーに添えられるブラックチョコは理屈に合っていたのです。
チョコが虫歯の元だと、信じきっていた私には、未だに信じられない話もあります。虫歯の原因はミュータンスレンサ菌とソブリナス菌という口内細菌だそうですが、最近の研究では、ソブリナス菌が虫歯になっている人の口の中に多く検出されたとか。そのソブリナス菌を持っているラットにチョコレートを与えたら虫歯が抑制されたというのです。チョコが虫歯予防になるなどといったら、子供は大喜びでしょう。
アレルギーで悩まされている人にも朗報があるといいます。ポリフェノールの抗酸化力が症状の緩和に役立つのだとの報告もあるそうです。
私もすべてを理解して書いているのではありませんが、こうしたチョコレートの基になるカカオ豆から抽出した抗酸化物を使った健康飲食品が特許になっているのです。
1994年2月4日に出願され、「カカオ豆から熱水やエタノールを使用して抽出した抗酸化物質を含有する健康食品」という特許請求範囲で公開になりました。
私は、この技術分野は良く分かりませんが、熱した水やエタノールなんてものを使った物質の抽出は多分、既に行われていたのではないかと思われます。
この特許は、自然界にあった物質の効果を発見したものに違いないのです。発見は発明ではありませんので、こうした抽出過程で押さえようとしているのでしょ う。製造方法や、使用する熱水の温度が80度以上とか、エタノールと水の比率も限定しておりますが、こうした条件が実際の特許としては数値を限定することで登録になりました。特許第3095605号です。当初から、この出願は発見した物質を押さえることを意図していたのです。
しかし、この抗酸化物質は今まで、チョコレートにたくさん含まれていた「カカオポリフェノール」そのものなのです。特許として成立していますが、なにしろ、紀元前から人々に食されていたカカオ豆や、チョコレートに含まれていた副作用のない抗酸化物質が、健康に役立つ薬や食品になるという発明なのです。