コラム

コロナ禍を超えて国際特許出願が増加
WIPO発表に見る世界の知財状況 その1

さる2月28日に世界知的所有権機関(WIPO)が発表した2022年の特許協力条約(PCT)出願結果は、
コロナ禍を超えて知財活動が復活していることをはっきりと示した。
世界の産業現場は、コロナ禍の逆境を超えてようやく復調軌道に乗ってきたようだ。

WIPOホームページ:
https://www.wipo.int/pressroom/en/articles/2023/article_0002.html

インドが急増し韓国も伸びる
WIPOの発表によると世界全体のPCT出願件数は、
27万8100件で全体ではわずかに0.3%増加にとどまったが、過去最高となった。

出願件数のトップは中国で、7万件を超えた勢いは、とどまるところがない。
中国の知財創出は、産業現場にとどまらず、大学などが集中するサイエンスパークの活動が広がっており、
今後も増加傾向はしばらく続くのではないかと思う。
韓国が前年比6.2%増で中国・アメリカ・日本の次にぴったりとついている。
ドイツも増加したがそれを上回る勢いで韓国はドイツを抜いた。

PCT出願トップ10

 

6位以下は、フランス、イギリス、スイス、スウェーデン、オランダと続いている。
またインドが前年比25.4%と大幅な増加を見せたと報告しており、
「眠れる巨象」がいよいよ眠りから覚めたことをうかがわせた。
12位につけているのでいずれトップ10に入ってくるだろう。

PCT出願ではアジア諸国・地域の勢いが引き続き好調であり、
2021 年の 54.2% から 2022 年には 54.7% に全体のシェアを増加させているとWIPOは指摘している。
製造業で確立したアジア諸国・地域の知財活動は、揺るぎないものになってきたようだ。

企業別では中国・ファーウェイの勢いが続く
企業別の公開数をみると、
中国の通信大手ファーウェイ・テクノロジーズは、7,689 件の PCT 出願を公開し、
前年に引き続いて圧倒的にトップを守った。
韓国のサムスン電子 が 2 位、アメリカのクアルコム、日本の三菱電機 が続いている。

企業別PCT出願公開数(2022年)

OPPOは広東省東莞市に本部を置く大手通信機器、ソフトウェアメーカー
BOEは、北京に本社を置く電子製品の製造メーカー

 

中国・深圳市にあるファーウエイ本社

WIPOは報告の中で、
スウェーデンのエリクソンとサムスン電子は共に44.3%増加したとし
「上位10社の中で最も成長率が高く躍進した」している。
また日本電信電話株式会社(NTT)も急成長を遂げ、
2022 年には 24.9% の成長率で 5 つ順位を上げて 7 位になったことも言及している。

大学関係ではカリフォルニア大学が552 件の PCT 出願公開、引き続きトップを維持し、
次いで浙江大学 (309 件)、蘇州大学 (303 件)、
リーランド スタンフォード・ジュニア大学 (217 件)と続いているとしている。
この中で中国の蘇州大学が最も急増し、前年からほぼ倍増したとしている。

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