コラム

クラゲ

皆様はクラゲと聞いて、どのような印象を持ちますでしょうか?
私は小さい頃の思い出として、海水浴場で夏の終わりになると泳いでいる周りに直径十センチメートルほどの
クラゲが現れ、胸や太ももに痛みを覚え刺された記憶があり、良い印象がありません。
また、日本海から東北の太平洋岸では巨大なエチゼンクラゲが大量に発生して漁網の中に魚と一緒に入り漁業への被害が甚大な年もあり、何回かニュースになりました。

原子力発電では冷却するために多くの発電所で海水を使っていますが、クラゲを吸い上げないように苦労していることも耳にしました。
こんな訳でクラゲは私の中では、どうも厄介者にすぎませんでした。

しかしながら、山形県の鶴岡市にある市立の賀茂水族館に行って、全く印象が変わってしまいました。世界でも有数のスケールで、世界各地から採取された50種類以上のクラゲが飼育され、展示されていました。その優雅に浮遊している様は、何か壮大な宇宙にさまよう船のような感じがしました。小さなクラゲが光に浮かぶのは何かこの世のモノとは思えない素晴らしい景色でした。そして、癒される心持がして、女性に大変人気があるとの話も聞いて大いに納得できることでした。

クラゲの身体は90%以上が水分で、海水が無いと生きてゆけないといいます。また、水流が無いと漂うように泳ぐことが出来ず、互いに衝突し、または壁にぶつかり傷ついてしまうこともあるそうで、水族館では水流を作るために工夫を重ねたといいます。

水流は一般的に魚を飼うような水槽で、水を浄化させるために還流するポンプではうまくないそうで、水をろ過するために流れの速い、ろ過装置を使うとクラゲが吸い込まれて壊れてしまうこともあるそうです。クラゲの飼育に適した水流を作り出す水槽が必要になります。
また、クラゲの寿命は1年半程度であり、水族館でもバックヤードで、順次クラゲを生みだし、成長させる工夫がなされているといいます。

クラゲは卵の状態からプラヌラと呼ばれる幼生が生まれ、岩などに付着してイソギンチャクのような触手を持ったポリプに変態するのです。このポリプの状態ですと数十年は生きているといいます。そしてポリプを一定の温度環境に置くと、水槽の中で勝手に分裂して、クラゲの子供であるエフィラになり、親クラゲのように泳ぎだすのです。
このエフィラは水流がなくても2週間程度は飼育出来るそうです。しかし自然界では冬場しか採取できないといいます。

こうした実態を踏まえ、ポリプを培養する水槽と、ポリプに分裂を起こすまで温度を下げ、エフィラを作りだすアイデアが特許になっています。特許第5577093号「エフィラ生産装置およびエフィラ生産方法」です。2014年登録ですから手軽にクラゲの幼生が家庭でも入手できるようになったのはこうした発明があるからでしょう。

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