カラオケ
最近は大きな声を出すことが健康に繋がるという指摘もあり、町にあるカラオケボックスには歳を重ねた人も
一人で出かけ、歌ってくるという人も少なくありません。
最近の曲を含めて、カラオケ(からオーケストラ)の伴奏に合わせ歌うことが手軽にできるようになり、私も時々利用しています。カラオケが登場する前には、リクエストに応じてピアノや、アコーデオン、ギターなどで伴奏してもらい、歌うサービスがスナックや飲食店で行われていたこともあります。ピアノ演奏のバーなどでは我々が歌うようなメジャーな曲は、演歌でも演奏してくれて気分よく過ごすことが出来たものです。
生演奏は歌い手の進捗に合わせて、スピードの多少の変化や音程の不安定さを助けてくれるのですが、レコードやCDのカラオケ演奏では、歌い手の遅れや早すぎる歌には合わせてくれません。当然のことながらオリジナルの楽譜通りに演奏されています。
私も持ち歌などと言われる歌を、カラオケでもって人前で披露することもありました。その時の身体の調子(?)か、演奏に合わないで、歌い終わっても演奏が流れていたり、逆に演奏が先になったりと、一緒に行った仲間から失笑されたり、大笑いされて恥ずかし思いをしたことが少なくありませんでした。
そうした体験を払しょくしてくれた発明があります。カラオケを楽しんでいる皆さんも使われていると思います。伴奏に合わせて歌詞がテレビに表示され、さらに演奏の進行に伴い歌うべき個所の、歌詞の文字の色が変わる映像情報付きのカラオケです。
このカラオケの登場で、少なくとも歌の遅れや早すぎることが確認できるので、伴奏から大きく外れるのを防ぐことが出来るようになりました。
この特許は、知人だった東芝の特許部長がスナックで歌っているときにそっと教えてくれました。
ウチの特許なんだよと。もう30年も前の話です。
このアイデアは、1982年3月に出願され、1991年に登録になりました。
特許第1753605号(特公平3-24837号)「ビデオ記録装置」で、背景映像と伴奏曲と、曲の歌詞となる文字情報を伴奏の進行に伴い色調変化器で着色するものです。
実はこの特許は、登録までに相当な時間がかかり、しかも公告後も、発明性を否定(発明の構成要件開示不足)したり、従来ある技術からの進歩性を疑う異議申し立てが複数出されましたが、最終的には登録になりました。我々ユーザにとっては便利な機能は、競合メーカなり、サービスを提供する業者にとっては困った権利になり、色々と係争の種になります。
この発明は分割もなされ、特許第2141259号(特公平5-57595号)「ビデオ記録媒体」、
特許第2130454号(特公平5-57596号)「ビデオ記録方法」、さらには特許第3031538号「歌唱個所指示方法」として成立しました。この特許は後に無効審判が出され、アメリカ特許で無声映画時代に生演奏のバンドと曲の進捗に合わせ、歌う個所の照度を上げた映像の映画フイルムを投映する技術が公知であり、容易に想到し得たとして無効審判が認められる裁判が権利消滅後に確定しました。