コラム

オープンビジネス

現在はインターネットを使ったビジネス、さらにはスマートフォンを端末に想定したビジネスが当たり前のように普及してきています。

十数年前に、私の周りでも多くの人がベンチャー企業を立ち上げて、様々なソフトウエアや新しい概念のビジネスを数多く生み出して現在も活躍しております。

そうしたビジネスを立ち上げてきた若者が、口々に主張していたことが、オープンビジネスで規制や権利が無い方が良いという主張です。著作権保護法や特許法がビジネスを阻害してしまうというのです。

彼らのビジネスの推進方法の考え方には、カリフォルニア大学バークレイ校のヘンリー・チェスブロウ教授が提唱する「オープンビジネスモデル」という概念というか考え方に共感し、感化された背景があることは間違いないことだと思っています。

ヘ ンリー・チェスブロウ教授は、これからのイノベーションは企業内部だけにとどまらず、外部からも積極的にリソースを募ってボーダーレス化させ、新たな価値 を創造していくという概念です。このような考え方やさまざまな立場のつながりを生むしくみは、インターネットの発達によって世界的に広がって来ているので す。

組織や立場を超えて様々なアイデアや技術が集められ、その結果として新しいビジネスが生まれるということでしょう。

大規模な企業体で、構成員が多くなればなるほど複雑化した技術や多様化した技術に柔軟に対応してゆくことが困難になっている可能性があります。つまり社内の何処の誰を集めれば、プロジェクトが上手く行くかを見極めるのが大変になってしまうのです。

中 小規模の企業になれば、複雑で多様化した技術に対応できる人が何処に居るのかを探すのは余計大変です。そこでインターネットというプラットフォームを媒介 にしてアイデア、技術、共感を集め、整理して新たな創造につなげるという考え方がオープンビジネスモデルといえましょう。

こうなると先に述べた知的財産権利や規制がない方がスムーズに行くという考え方に収束してしまい、権利を主張したり権利を持つこと自体が技術の波及や標準化の推進の阻害をするという考えに至ってしまうのです。

オー プンビジネスの世界を担う企業や人々すべてに、こうした考えが、共有されることで新しい世の中やビジネスが生まれる事は喜ばしいことなのです。しかしなが ら、他人が上手くやり、自ら作り上げたビジネスモデルで収益を上げることは容認できなくなることが目に見えています。オープンだから権利を振りかざさない と思われていた筈が、訴訟に巻き込まれてしまうケースも出て来ているのです。そうした一つが、インターネットのサービスで、URL(Uniform Resource Locator)を一々入れないでも、例えば日本語で表現した記述を入力すれば、その記述に対応したURLに翻訳してしまうアイデアです。特許第3762882号「インターネットサーバーのアクセス管理およびモニターシステム」で、多くのサービスで使われています。

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