コラム

お餅

皆さんはお正月をどのように過ごされましたか?

東日本大震災の被災地ではお正月どころではないといった声もたくさんありましたが、新たな年の出発として被災地の音信不通の方から頂いた年賀状が心を打ちました。

「苦悩を突き抜けて歓喜に至れ!」というベートーベンの言葉を引用して自らを、また被災した仲間を鼓舞する力強い手書きの文字が脳裏に焼き付けられました。

お正月といえばお餅がつきもので、鏡モチはどこの家庭でも飾り付けるモノです。しかし最近は神棚もなく、ゲタ箱や床の間もない洋式化した家庭が多くなり、さらにはブラウン管テレビが姿を消し、薄型のテレビになり鏡餅を飾るところが無くなってしまったと指摘する人もいます。(新潟県食品研究所の江川和徳さん)

私はお餅が大好きで、家で餅つき機を購入し、正月に限らずついて食べています。

昔は臼と杵でついていたので、大変な労働でしたが、楽になったものです。お正月の餅はおせちと合わせ、主婦を食事の支度から解放する習慣だったのでしょうが、餅は保存しておくと堅くなり、いつかはカビが生えて、食感も悪くなるし、健康面でも心配されます。

1962年に食品の防腐剤として使われていたデヒドロ酢酸を大量に使ったお餅が出回り、毒餅事件と騒がれ使用量を厳しく制限するだけでなく、防腐剤を使用しないお餅が研究され、つきたての餅を外気に触れないようにフイルムで包むことで新鮮で、乾燥しすぎて堅くならず、カビなどから防ぐ方法が提案されたのが1965年だそうです。意匠権を取ったそうですが、どのようなモノか分りませんでした。

こうしたフイルム容器に餅を流し込んだ後に、折りやすく切りもちのような大きさに筋を入れた押型に入れて成型したお餅が商品化されました。特許出願を探したら、特開平10-165121号「手欠き切り餅」がありました。これは乾燥したお餅を手で割れるくらいの深さに切り込みを入れる発明で、厚さ方向に近い大きさで切込を入れています。サイコロのような形にも、従来の切り餅サイズにも好みの大きさで割ることが出来るモノです。

昨年ちょっと話題になった切り餅をめぐる、日本で1,2番のシェアの二社の間の切り餅事件です。両社とも夫々の製品に関係する特許を持っていますが、餅に切り込みを入れて、所望の方向に膨らませる発明です。

越後製菓が持つ特許第4111382号「餅」は、切り餅の側面に、切り込みを入れることでふっくらと焼きあがる「ふっくらカット」を特許化したものです。最中やサンドイッチのように上下の板版状部の間が上手く膨れ上がるというアイデアです。

一方、サトウ食品の特許第3620045号「切り餅」は上面と下面、さらには側面に切り込みを入れて上下に均等に膨らますアイデアで、「パリッとスリット」という商品名で商品化しています。「パリッとスリット」も「ふっくらカット」と同じ側面にスリットがついており、これが同じことかどうかをめぐって裁判が展開されています。

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