お尋ねもの
時代劇や西部劇の中には、現在で言えば指名手配を受けたお尋ねものが登場します。
アメリカ西部劇の代表ともいえるガンマンで、ワイアット・アープなどが活躍した話は映画などでよく見たものです。アープは実在の人で猟師だったのですが、無法者の多かったカンザス州の保安官を勤め、後にアリゾナで連邦保安官補に就任したのです。
1881年10月にOK牧場の決闘などで友達のドク・ホリデーとともに、ならず者と闘って一躍その名を有名にしました。後に弟を殺した犯人を殺傷して、お尋ね者になってしまったのです。その首には多額の賞金が懸けられたようです。
昔から、手におえないものや偉大な行動に懸賞金がつくことは、世の東西を問わず少なくありません。
「翼よ、あれがパリの灯だ」というタイトルの本で有名な、リンドバーグは1927年に世界で初めてニューヨークとパリの間の大西洋を単独で無着陸飛行し、世界的に有名になりました。この飛行は25000ドルの懸賞金を得るためだったのです。所要時間33時間30分も眠らないで一人で飛行するのは大変なことでしょう。飛行機も特別に注文したものだったそうですが、その賞金は魅力があったことでしょう。
2000年頃に特許の世界でも、懸賞金つきのお尋ねもの(特許やアイデア)が話題になっていました。
アメリカではインターネットで、特許を指名手配しているのです。「BountyQuest」と名づけたサイトでした。懸賞金をつけた特許をつぶせる資料なり、出願前に使われていたなどの事実を提供して、潰れた場合には
懸賞金を支払うというのです。
懸賞金も1から4万ドルといいますからちょっとしたお小遣いになりそうです。
バイオテクノロジー、コンピュータ、機械の技術分野ごとに分かれて掲示がされていますが、何かと世の中を
騒がせた特許が軒並み手配されていたのです。
インターネット関係を見ると、ワンクリックで買い物ができる特許、逆オークション特許などの当時話題のビジネスモデル発明を潰せる資料を求めていました。バイオテクノロジーと名を打った掲示板には、シルデナフィルを使ったバイアグラ特許やハゲの治療法、遺伝子配列のデータベースなどの技術が指名手配になっていました。
いずれも特許の審査段階で引用されたものを除き、発明時点で公にされていた事実を提供して欲しいと
されています。だれが懸賞金のスポンサーなのでしょう。
これはこのようなインターネットベースで特許などの従来技術を懸賞金付きで募集するビジネス方法「BountyQuest」サービスのアイデアそのものへの懸賞までついていたのです。
懸賞金が14159ドルと半端なのは理解ができませんが、自分の考えたサービスも公知の技術がないか問う
などということは、ちょっとしたユーモアなのでしょうか?
このサイトはいくつかの情報が寄せられたようですが、数年後には閉鎖されてしまいました。
その後もインターネット関係の技術の成立を不満としてアンダーグランドで懸賞が懸けれていたとの話も
ありますが定かではありません。