あけおめ
年始の挨拶を書状で交わす習慣は、なんと古くは奈良時代からあったようで平安時代には武家社会に広まったそうです。通常は顔を合わせて年頭の挨拶をするのですが、遠方で行くことができない人には手紙を書き、送り届ける風習です。使用人を使いに走らせることに始まり、その後は飛脚便を使い届けていたのですが、明治に入り郵便制度が出来てからは年頭に書状を交わすことが庶民一般に盛んに行われるようになりました。
1873年に郵便はがきが発行されたのを機会に、安価に書いて送れるという事で、はがきでの年始の挨拶が急激に広まり、年末年始の郵便物の取り扱い量が増え、郵便業務全体に遅延が始まってしまいました。何とか1月1日の消印を求めるため、どうしてもその時期に集中してしまい、郵便局としても対応に苦慮したようです。
集配数などを減らす対策なども行われたということですが、年賀の挨拶が減ることがないため、1899年になり年賀郵便の特別取り扱いが始まったのです。12月20日から30日までに郵便局に持ち込まれた年賀郵便には元旦の消印を押し、1月1日以降に配達する制度でした。
お馴染みのお年玉くじ付きの年賀はがきは1949年に始めた発行されたと言います。
このくじ付き年賀はがきも、このところ販売数が低迷して、郵便局も駅や繁華街にまで出店を設け、年賀状を出そうとキャンペーンを張っています。
年頭の挨拶が、年賀はがきから、パソコンや、携帯電話に、スマートフォーンのメールサービスに置き換わってきつつあるのでしょう。
特に、ショートメールと言われる、電話番号を入れることで送れるメッセージサービスでは、送付出来る文字数の制限もあるためか、「明けましておめでとうございます。」を「あけおめ」と入れ、「今年もよろしくお願い致します」を「ことよろ」と入れるのだそうです。「あけおめ、ことよろ」の4文字で年頭のご挨拶が済んでしまうと言いますから、平安時代の人が聞いたら、驚愕するに違いありません。短縮語や省略語は、若者や現場用語ではしばしば使われていましたが、ここまで来るとは驚きました。
この「あけおめ」が特許の明細書に登場するとなると、話題になるでしょうか、今やインターネットを使ったサービスですっかり社会に定着した、ツイッターやフェースブックなどのソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を一層より使いやすく、さらには多様化して、しかも効率化しようとする発明です。
豊橋技術科学大学と株式会社トップウエーブの発明で、「情報処理装置、その制御方法およびプログラム」(特開2014-216001号)です。
SNSでは、メッセージに対してその内容を読んだよという事で、「いいね」というボタンを押すことが行われていますが、メッセージの内容に応じて、「よくないね」とか季節や日付、天候などを考慮して、「暖かくなりましたね。暑いですね。寒いですね。風など引かないように」など多様な返信の選択肢ボタンを用意すると言うのです。
元旦には「あけおめ」ボタンを設けるという実施例が書かれていました。