コラム

メディアの選挙予想を破壊した多党化時代の投票行動

先の衆議院選挙で、高市自民党が圧勝し中道改革連合が惨敗する歴史的大波乱となった。
主要メディアの事前世論調査結果と選挙予想は大きく外れ、多党化時代の選挙予想に課題を残した。
なぜこのような結果になったのか。
ここで選挙結果の総括を書いてみたい。

選挙予想と結果の乖離
この表は、主要メディアが発信した各党当選者数の事前予想と実際の選挙結果の数である。
JNN(TBS系)は、予想数に大きな幅を持たせているので無難な結果に近づいているが、他のメディアは自民、中道改革連合で、大きく外れている。


選挙予想は、メディア公表の数字や報道内容をもとに筆者が作成した。

自民党の当選者は、316人だが、各ブロックの比例代表選の名簿に記載した自民の候補者数を絞り込んで少なくしたため、せっかく獲得した14議席分を他党の候補者に振り分ける結果となった。
したがって、候補者を擁立していれば本来は、自民党が330人の当選者になり、野党など残る他党は、14人の当選者はなかったことになる。
自民が比例代表で大損をしてこの結果である。
過去の選挙結果を見ても、2009年の民主党・鳩山政権の308議席、1986年の中曽根政権時代の304(当選後の追加公認をふくむ)議席を大きく上回る数だった。

筆者は読売新聞で国政選挙の統計予測を数回手がけた体験があるが、予想と結果がこんなに乖離したことはない。
今回の予想を総括すると次のようになる。

・ 自民党がメディア予想数字を大きく上回る当選者を出している。
・ 維新・国民民主・参政が、予想数字をやや上回る当選者数になっている。
・ 中道改革連合が予想を大きく下回る歴史的な惨敗になった。
・ 共産は弱小政党に転落した。

これは、事前の選挙予測を破壊する出来事であり、今後の調査報道に課題を残した。
自民党が大勝したが、事前予想では高市内閣を支持するムードは高かったが、自民支持は低かった。
党内には選挙では勝てないという見方もあった。
それを電撃解散で一挙に高市人気を追い風に圧勝した。
高市人気とは、「閉塞感打破への期待感」とみられている。

「情勢」を気にする有権者
ネットとSNSが普及し、多党化が進んだ社会では、有権者は以前にも増して「情勢」を気にするようになったと言われている。
過去の選挙例をみると、投票者の三分の一程度を占める無党派層の行方が、選挙結果を大きく動かしてきた。
無党派層の多くが野党に流れる傾向があったが、今回のメディア各社の出口調査をみると、自民党候補者への投票が過去の選挙に比べて増え、野党候補に流れる票が自民にとられていた。
これは「プラス・マイナス」で2倍の差がつく。

無党派層は、沈黙層ではない。
投票日直前に動く巨大な集団と考えた方がいい。
ネットやSNS情報に左右される人も多い。
情報は新聞、テレビ、スマートフォンの画面から絶えず流れ込んでくる。

転換迫られる選挙予想
情報の氾濫と錯綜の中にあって、投票行動は1日で決める瞬間判断と言ってもいい。
従来型の事前調査で投票行動を予想するのは、難しい時代になった。
「情勢」の動きや「人気」の流れを数値化する新しい予想方法が編み出されるのだろうか。

しかしもっと問題なのは、選挙の投票行動が非常に低いことだ。
総務省が公表している歴代衆院選の投票率を見て驚いた。
直近、5回の投票率は、歴代の中でもワースト5位内に収まっている。

10年以上前から選挙に行かなくなった人が、全有権者の半数近くもいるという現実は、やはり国をおかしくするのではないか。

世界的にも低い投票率
国政・大統領選挙など世界の主要国の投票率を調べてみると日本は低い。
この表はAI(ChatGPT)が出したものに、筆者らが調べた数字を参考にして作成した。

国によって 選挙制度・登録方法・投票日の扱いが異なるため、単純比較には注意が必要です(登録者基準か有権者基準かなど)。欧州や韓国では義務投票や文化的要因で高い投票率が出る傾向がある。

政治に関する関心の低さは、国の衰退を示す警告である。

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