AIの進化
毎日のようにAIをめぐる記事が新聞にのる時代になりました。
私が最近気になったのは「AIが爆食いする電力」という日経の記事でした。
なんとデータセンタが一箇所で、一般家庭の5から8万所帯の電力を消費するというのです。
原子力発電所の発電量の4分の1を消費してしまい、データセンタ運営者が、発電事業を買収したり、個別に発電所との専用の供給契約を結ぶケースも出てきています。
世界で稼働するデータセンタの消費電力は、2024年には57ギガワットだったのが、2027年には6割増しの89ギガワットになるというのです。
生成AIの学習や質問や指示を解読して回答を生成するためには、一般的なネット検索の10倍のエネルギーを消費するといいます。
私の知っているサーチャーといわれる検索専門の人と同等の仕事ができるまでには、まだ未だほど遠いと感じます。
現状でも消費電力が10倍となれば、このまま開発や進歩を進めることに疑問を感じます。
たとえがおかしいかも知れませんが、会社であれば有力な後輩の育成に、ベテランの10倍もの投資をすることに匹敵します。
しかしながら、最近の生成AIは、目まぐるしい進歩をしていることも確かです。
質問者が的確な質問をすれば、ある程度実用に耐えるか、書類作りのシナリオ作成や参考になるような回答が得れるとする利用者の声も聞かれるようになりました。
仕事を進める上での情報整理の参考にする、さらには大まかな情報収集の補助的なツールとしては使えるレベルになっているという感想も聞かれます。
そこで最近充実していると聞いた生成AIのCopilot(商標登録第5128539号)に「特許の審査を行うにあたり、AIが使えるのかどうか」を質問してみました。
するとAIが特許審査を加速できる5つの場面ということで、技術分類付与、先行技術検索、クレーム解析、図面・意匠チェック、オフィスアクション案作成と分けて、AI活用イメージ、期待効果、推奨モデル例を挙げて整理してくれました。
更には日本の特許庁での制度面の活用可能性、ガイドラインとしてはあくまでも人による審査官の新規性、進歩性判断など創造的評価が主体で、AIは補助的であると回答してきました。
導入にあたっての注意すべき点として、AIによるハルシネーション(あたかも事実の情報があるような誤った情報の生成)、機密漏洩(公開前の情報をAIに伝えてしまうリスク)、バイアス(現時点では欧米の特許情報中心)、説明可能性欠如(なぜそうした判断をしたかの判断がブラックボックス)と、的確な指摘をしてきました。
実装するまでのロードマップとして、第一段階は既存審査フローの可視化、AIがボトルネックを減らす工程の特定。第二段階は検索結果と人手による検索の比較。
第三段階は公開特許情報600万件を日本語で学習させる。
第四段階でAIはクレーム解析を行わせ実際の審査官の判断との比較テスト。最後に検索工数の削減(3割減)、誤り率(10%)の検証を行い、導入するかどうかの判断を行うとの提案までしてきました。システム設計や、導入までの判断、ロードマップを半年で行う提案でした。
深堀りしたい観点はないかとAIから逆に質問してきたので、技術分野ごとの違いを尋ねたら、分野ごとに必要なデータ形式や検索アルゴリズムが劇的に異なるため、汎用の大規模学習モデルが使えないとの回答が示されました。観点としては至極真っ当で、参考にできるという印象を持ちました。