そよ風 (No.270)

東方幸男

2013.06.17

ハネウエル

ミノルタカメラや日本の一眼レフカメラメーカを相手に、たんまり特許料を稼いだあのアメリカのハネウエル社の話です。ハネウエル社は自動焦点カメラでいくつかの特許権を取得して、これを戦略的に使ったという話なのです。対象はアメリカ特許第3875401号「焦点検出装置」他数件です。

 

その戦略は二つあり、一つ目はコンパクトカメラについてです。自動焦点の特許群をライセンスしてどんどんお金を稼ごうとしました。二つ目は高級一眼レフについてであり、特許の独占権を遺憾なく発揮して市場を独占的に獲得しようという戦略でした。

 

特許権の持つ「独占権としての特性」、つまり、他社の参入を阻止し、抑止力として活用すること。および「財産権としての特性」、つまり、ライセンスによって収入を得るという二つの使い方を組み合わせて活用したのです。まさに両刀使いですね。

 

コンパクトカメラ用のメーカニズムは安いし、大量に供給するために設備投資が大変だったからなのでしょうか? 一眼レフのように単価の高い市場向けに付加価値の高い部品を全世界で独占的に供給して、ビジネスの面で儲けようとしたのです。

 

ハネウエルの特許部門の人に、ある人が特許を取得する目的をたずねたそうです。返ってきた答えは「デザイン・フリーダム」という言葉だそうです。おそらく設計だけではなく、ビジネスを含めて自由に活躍できることを意味しているに違いありません。

 

そのハネウエルが一眼レフカメラの分野でも、特許の独占による営業的な利益から、ライセンス収入を増加させる戦略に転換したのは意味があるのです。

 

自 動焦点の制御には、高度な半導体製造技術が必要だったそうです。ところが、彼らの製造技術では、歩留まりが悪く、どうしても良品のできる割合が高く成らな かったようなのです。一部の半導体関係の専門家もそうした見方をしていましたが本当だったのです。そして、大量に舞い込んだ注文をさばき切れなかったのが 事実だそうです。そこで戦略の転換を図り、コンパクトカメラだけでなく一眼レフでもロイヤリティ収入の確保に力点を置いたのです。

 

そうした背景があって、ミノルタカメラに代表されるあの一連の事件が勃発したという訳です。そのためには徹底した訴訟戦略と交渉戦略が検討され、どこから攻めるか、どう攻めるかを綿密に練り上げてことに望んだのです。

 

結果としては、自社の製造技術がどうしても向上しないという事実があったようで、仕方なく特許を独占権としてでなく、財産権として活用することにしたのです、当初の計画は両面作戦だったというお話でした。

 

この話のネタはある関係者で相当信頼できる人から聞きましたので事実でしょう。

 

特許権の取得と、その活用・利用については、いつも事業の戦略との関係で判断することは当然ですが、臨機応変の対応もあるということです。

 

この事件以来。日本では多くの企業が知的財産を重視することとなり、知的財産または特許の専門部門を設ける切っ掛けにもなったのです。

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