そよ風 (No.390)

東方幸男

2018.06.18

石油

石油や天然ガスはほとんどが輸入に頼っており、中東のドバイ原油の価格が指標となる原油価格で、
産油国の調整次第で我々の経済活動にも大きな影響があります。

 

最近はアメリカなどの油田やガス田の生産量が減少したところに、水や炭素ガスを圧力をかけて注入して小さな孔や隙間に溜まっていたガスや石油を押し出して生産量を回復する技術が確立して実用化されています。

 

EOR(Enhanced Oil Recovery)と言われる増進回収技術です。火力発電所や製油所などから排出される二酸化炭素を分離する技術が確立して、炭酸ガスの大気への排出の抑制と石油や天然ガスの増産で一挙両得の技術と言われています。

 

設備の費用や運用の経費を考えると、先のドバイ原油の価格が高騰すれば価格的に対抗できるのです。最近のある会社のデータでは2018年2月に米国のプロジェクトで120万トンの増産が実現したとのニュースが流れていました。

 

このCO2-EORと言われる炭酸ガスを油田やガス田に注入することで増産を図るアイデアは1952年にアメリカで特許になっています。アメリカ特許第2623596号です。日本でも1980年代に、炭酸ガスが多孔質の媒体の中で原油に溶解する組成移動が起こり、流動性が上がることで原油の回収が容易になることを実験で確認するなどの、いくつもの研究が重ねられ、CO2-EORが実際の油田で実証されています。

 

その後も様々な条件の油田での検証が行われ、当初のアイデアから60年以上も経ってから実際の油田での生産が行われるようになったのです。CO2-EORの技術の確立で現在の生産量の何倍もの埋蔵原油が回収できるとのことです。

 

技術的には石炭やガスを使った火力発電所からの燃焼排ガスを高い効率で回収する技術だけでも、薬品を使った化学的な処理、多孔質材料を使ったり、透過膜を使って排ガスから二酸化炭素を回収する技術が開発されています。また、炭酸ガスを地中に圧入する技術など数多くの発明がなされて実用化に漕ぎつけたのです。

 

原油の増産技術だけでなく、石油を合成する技術開発も古くから行われています。

 

フィシャー・トロプシュ法と言われる一酸化炭素を水素ガスに反応させる方法が知られていますが、高温・高圧状態で水素ガスを反応させるため安全性や製造コストが高くなり、実用化には程遠いか、困難性が高いとされています。

 

しかし最近になり、水から石油を作るとされる技術が開発されています。
活性酸素と二酸化炭素をナノバブル状にした水を用意して、この水中に炭化水素(石油)を入れて、衝撃を加えると炭化水素が増加するという発明です。特開2018-016614号「炭化水素系化合物の製造方法および製造装置」です。微生物工学で著名な今中忠行京都大学名誉教授の発明ですが、石油製造法として実用化に挑んでいます。

 

実験室レベルから、小さなプラント、さらには大規模なプラントと順次規模の拡大をして、技術開発と実証実験を繰り返すことで、実用化となるのが通常の開発工程ですが、夢のような石油の製造が実現すればエネルギー問題も解決するので、注視しています。

PAGE TOP